空の断片を捉えたり、雲の流れをたどったり、宙を舞う羽の旋回に酔いしれる……。女性クリエイティブ ディレクターのクレール・ショワンヌが紡ぎ出すのは、儚い一瞬の輝き。

Written by MACHIDA Akemi

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160年以上の伝統と職人の技術を継承しつつ、大胆かつモダンな装飾品を作り続けるブシュロン(Boucheron)が、新作ハイジュエリーコレクション「コンテンプレーション」(黙想)を発表しました。ブシュロンのクリエイティブ ディレクター、クレール・ショワンヌが今回の新作で表現したのは、自然の美しさと、儚い世界の美しさです。これまで手掛けてきた彼女の作品の中でも、最も私的でブシュロンのコードをきわめて感覚的に表しています。空の断片や雲が流れる様子、宙を舞う羽の旋回を捉えた作品は、見る人を黙想の世界へと導いてくれます。

コレクションの中でまず目を惹くジュエリーは、グットドゥシエル(空のかけら)のネックレスでしょう。「手で触れられないものを形にし、空のかけらを首元に飾りたい」と思ったクレール・ショワンヌ。空の群青のブルーの色調と、その儚さを表現する素材はどんなものがいいのか。2年も探し求め、ついにNASAが宇宙空間でスターダストを集めるパネル、99.8%が空気で、残りはシリカ(二酸化ケイ素)によって構成される素材を見つけました。それをロッククリスタルの中に閉じ込め、パヴェダイヤモンドで取り囲んだペンダントトップは、光に応じて色調が変わります。

空模様を表現した、しなやかな生地のようなチタンのメッシュのネックレスは、香川県の直島にある地中美術館のジェームズ・タレルの作品「オープン・スカイ」からインスパイアされています。「オープン・スカイ」は安藤忠雄設計の建物の中にあり、四角にくりぬかれた天井から空を眺められる作品で人気ですが、クレール・ショワンヌが描き出したのは、マザーオブパールによる嵐のような空です。たくさんの6角形で構成されたネックレスは、スレートグレーのラッカーをエアブラシで着色し、流れゆく雲のダイヤモンドとの対比を際立たせています。ネックレスを束ねるパーツには、空の美しさを表現したカボションカットの35ctものタンザナイトの宝石がゴージャスに輝きます。

ブシュロンは、パリのヴァンドーム広場に最初にブティックを構えたハイジュエラーでもあります。これまでもブシュロンは花や鳥などの自然をモチーフにしたジュエリーを多く発表していますが、今回のコレクションは、創業者のフレデリック・ブシュロンの大胆さや自由な精神を受け継ぎながら再解釈し、ディレクターのクレール・ショワンヌの彼女の思い描く世界を形にしています。

ブシュロンはCEOも女性で、女性がリーダーシップをとっています。ヴァンドーム広場26番地のブティックの上階にあるアトリエで、クリエイションのすべてを統括するクレール・ショワンヌはチームのメンバーに的確に指示を出したり職人と打ち合わせを重ねながら、今回も見事なハイジュエリーが完成しました。

新作コレクションの数は67作品。タンポポの綿毛やツバメのモチーフの他にも、1879年にフレデリック・ブシュロンが制作した孔雀の羽のモチーフネックレス、クエスチョンマークネックレスをベースにしたネックレスもあります。

ふわふわとした雲を再現したネックレスは、一度つけてみたいと思う人も多いでしょう。クレール・ショワンヌは「女性の首元を輝きで包み込む雲を、よりリアルにジュエリーにすること」を目標に、アルゴリズムを作成して、2年の歳月を費やして斬新な素材を開発。10,000ほどのチタンワイヤーを使い、その先端には小さなしずくを模した4,018石ものダイヤモンドとガラスビーズがセットされています。つけ心地は空気のように軽く、首の動きも妨げません。

「手にすることができない、儚いもの、例えば今この瞬間の出来事や、空の純粋さ、そして光の煌めきを表現したかったのです」とクレール・ショワンヌ。美意識、技術力ともにさらなる高みに到達したブシュロンの画期的なハイジュエリーです。

お問い合わせ：ブシュロン クライアントサービス　TEL 0120-230-441

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