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アレキサンドライト

6月の誕生石アレキサンドライトは小さな石でも近寄りがたい気品をそなえている。その理由は

Written by Brand Jewelry

ロシア皇帝アレクサンドル2世の名を戴く宝石。謎めいた緑と赤の2つの顔


ルビー、サファイアに次ぐ硬度8のアレキサンドライト。後のロシア皇帝アレクサンドル2世の12歳の誕生年に発見され、その名前を戴く

アレキサンドライトはダイヤモンド、ルビー、サファイア、エメラルドと並んで、貴石に位置付けられる宝石です。今ではあまり区別されなくなりましたが、20年くらい前までは、貴石はその他多くの半貴石とは別格の貴重な宝石と認識されていました。英語でいうと、貴石はprecious stone、半貴石はsemi-precious stoneですので、直訳すると貴石は貴重な石という意味です。半貴石と分類される石にはかつてあまり価値がないものとして扱われていた種類もありましたが、研磨技術の発達、自然への賛美など価値観の変化、ファッションの多様化など様々な要因により半貴石の人気が高まり、今では半貴石を低品質だと思う人は少なくなっています。ただやはり希少性という点からみると、貴石のほうが高価です。

台湾出身のジュエリーデザイナー、シンディ・チョウのブローチ。28.75ctのアレキサンドライトが用いられている。チタン・K18ホワイトゴールド・K18イエローゴールド・キャッツアイクリソベリル・ダイヤモンド・ファンシーカラーダイヤモンド・エメラルド・デマントイド・ツァボライト・アレキサンドライト・グリーンサファイア。(Cindy Chow)

アレキサンドライトは貴石の中でも希少性が高く、レアストーンコレクターの間で人気の宝石です。特徴は、昼間の自然光の下では青緑に輝き、室内で白熱光に当てると赤紫に見えることです。この性質を知らないと、その色の変化にかなり驚かされます。宝石店でアレキサンドライトを購入する時は、ペンライトとデイライトで見比べて色が変化するか確認します。鉱物学的にアレキサンドライトはクリソベリルに属し、色変化をしなければ、その石はクリソベリルです。逆にアレキサンドライトだけが、クリソベリルの中で変色する性質を持つもので、原因は内包される酸化クロムの影響によります。光を受けた際に酸化クロムの影響を受けて、光の種類によってグリーン、レッドに変色するのです。

アレキサンドライトは最初、1830年ロシアで発見され、ロシア皇帝の地位を約束されていたロマノフ朝の第1皇子アレクサンドルの12歳の誕生年であったこともあり、皇子の名をとって付けられました。発見された場所は、エメラルド鉱山でもあるウラル山脈でした。今日ではブラジル、スリランカ、マダカスカル、タンザニアでも産出されます。

誕生石のアレキサンドライトには、一生愛用できるものを選びたいものです。そのためには、実際に自分の目でいくつものアレキサンドライトを見比べることが第一歩です。宝石専門家のアドバイスを聞きながら見ていると自然に見る目が高まり、また自分が好きな色、嫌いな色がわかってきます。見る目がある程度成長した段階で、お財布に合わせて購入してみるのがいいでしょう。選択のポイントとしては、透明度が高く、色の変化が明確で、肉眼で見える傷が少ないものがおすすめです。

ブラジル産のアレキサンドライトを中心に、周囲を合計4.67ctのダイヤモンドが取り込むリング。プラチナ・アレキサンドライト(2.71ct)(La Legend)

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