
テート美術館所蔵 コンスタブル展 2021年2月20日(土)~5月30日(日) 三菱一号館美術館にて開催
Written by MACHIDA Akemi
19世紀のイギリスの風景画家、コンスタブルの大回顧展。ロイヤル・アカデミー展でライバルのターナーとの対決が勃発した展示を再現。
宗教画や人物画の格が高く、風景画の地位が極めて低い時代に、イギリスの画家コンスタブルは、J.M.W.ターナーとともに風景画を刷新しその評価を引き上げたことで知られています。
ターナーが絶えず各地を旅して、国内外の景観を膨大な数の素描に収めたのとは対照的に、コンスタブルは自身の生活や家庭環境に密接に結びついた場所、故郷サフォーク州の田園風景をはじめ、家族や友人と過ごしたソールズベリー、ハムステッド、ブライトンなどの光景を写した生気あふれる作品を描いています。
コンスタブルの大規模な回顧展「テート美術館所蔵 コンスタブル展」が東京・丸の内の三菱一号館美術館で開催されます。日本でコンスタブルの企画展が開催されるのは、1986年に伊勢丹美術館で展覧会が開かれて以来、35年ぶりのこと。コンスタブルの初期から晩年の作品40点に加えて、同時代の画家の作品20点がロンドンのテート美術館より来日します。

生涯において、故郷サフォーク周辺の風景、森や川の自然をありのままに捉えて描いたコンスタブル。外に出かけ、太陽の下で自然を細部まで描写するコンスタブルが特に惹きつけられたのは、視界いっぱいに広がる荒野とダイナミックに変化する空だったそうです。何層にも重なる躍動感のある雲と、その隙間から差し込む光の描き方には思わず見入ってしまいます。
製粉業を営む家系に生まれたコンスタブルが画家を目指したのは20歳になってからで、ロイヤル・アカデミーの正会員となったのは53歳と遅咲きの画家でもありました。現在コンスタブルの作品は人気がありますが、彼が生きていた時代のロンドンではそれほど評価されず、国内よりもパリで絶賛されたといいます。
注目したい作品は、《ウォータールー橋の開通式(ホワイトホールの階段、1817年6月18日)》です。この作品は、1832年のロイヤル・アカデミー展でライバルだったターナーの《ヘレヴーツリュイスから出航するユトレヒトシティ64号》と並んで展示されました。本展では、この2作品がロンドン以外で初めて並んで展示されます。

新型コロナウイルスの影響で我慢を強いられる生活が長引いていますが、新鮮な外の空気を感じさせるコンスタブルの絵画の前に立てば気持ちもリフレッシュできそうです。
観終わった後は、館内にあるカフェ・バー「Café 1894」で、《虹が立つハムステッド・ヒース》にインスパイアされたデザートはいかがでしょうか。4種類(青りんご、アプリコット、グロゼイユ、いちご)のムースで虹をイメージし、雲を綿あめで表現。アプリコットシロップを綿あめにかけると、あっという間に雲がなくなり綺麗な虹が現れるというインスタ映えするデザートは会期中限定なので、ぜひこの機会に。

テート美術館所蔵 コンスタブル展
会期:2021年2月20日(土)~5月30日(日)
開館時間、入場料などの詳細は、美術館のウェブサイトをご覧ください。
三菱一号館美術館 |
東京都千代田区丸の内2-6-2 TEL 050-5541-8600(ハローダイヤル) |
https://mimt.jp/constable/ |