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ジュエリーブランドの様々な情報を発信

ジュエリーを通して「エシカル」について考える。作る人も買う人も幸せにするために

Written by Brand Jewelry

格差社会が拡大する現在、倫理的な側面からジュエリーの製造について取り組む時期がきている

 


2020年は新型コロナウイルスが世界中に猛威を振るい確かな解決策が見出せず、まもなく新しい年を迎えようとしています。「エシカル」というテーマを雑誌『ブランドジュエリー』が初めて取り上げたのは2015年でした。その頃より欧米のファッションブランドでは「エシカル」、また「サステナブル(持続可能)」という観点から製品を開発することに動きだし、現在ではそういう姿勢がなければ消費者、とりわけデジタルネイティブのミレニアル世代から支持されないと言われます。一方ジュエリーは、ファッションと比較すると進み具合は緩やかです。ですが、パンデミックによって世界の格差社会問題が拡大したことにより、ジュエリーでも生産国との関係性を見直す必要に迫られています。



「エシカル」とは、直訳すると 「倫理的な、道徳的な」という意味です。近年もう少し踏み込んで、人や社会、地球のことを考えた「倫理的に正しい」消費行動やライフスタイルを指すようになっています。

1997年にイギリスのブレア首相が「これからの国際外交はエシカルなアプローチが大事」と発言したことが、エシカルという言葉の普及のきっかけとも言われています。政治の世界から飛び出した言葉はやがて、エシカル・インベストメント(倫理的投資)やエシカル・コンシューマー(倫理的消費者)などの語を生み出し、2004年にはパリでエシカル・ファッションショーも開催され、ヨーロッパを中心にエシカルのムーブメントは広がりを見せました。セレブたちがこぞってエシカルな取り組みに参加し始めたことも、ブームに拍車をかけています。

ファッションなど、身に着ける商品の価値として、デザインは重要なファクターです。 しかしエシカルなファッションは、その前の 段階として、商品が「倫理的に正しく」作られているか、製造の過程までを含めて考えます。たとえば、環境に配慮されている素材か、生産者が劣悪な労働環境に置かれていないか、公正な取引か(フェアトレード)か、など。同時に消費者の側も、物を買うという行為が社会的にインパクトを与えるかどうかが「エシカル消費」として語られるようになりました。商品を買うと売り上げの一部が寄付される仕組みだったり、フェアトレードの 商品を買うことが先進国の発展につながるなど、社会貢献の視点が浸透し始めているのです。 日本では、2008年頃からメディアでエシカル消費について紹介され始めていましたが、2011年の東日本大震災を契機に、社会貢献への考え方が加速度的に進みました。 特に若い世代には、企業のCSR(社会的責任)や社会的企業(ソーシャルビジネス)などの考え方も広まり、エシカルに関連する起業や商品を購買するハードルが低くなってきています。ジュエリーの世界においては、2009年にHASUNAが創業したのを機に、「エシカル・ジュエリー」がメディアの注目を集め始めました。その後もまだ数は多くありませんが、エシカルなジュエリーを模索する動きは増えてきています。

そもそも、私たちが普段身に着けている美しいジュエリーがどのようにできているのか、最初から最後まで詳しく知る機会はあまりありません。ゴールドやプラチナ、宝石を採掘する鉱山で働く人たちや、宝石を研磨加 工する職人、産出国や地域が抱える構造的な問題のことをどれほど知っているでしょうか。宝石の取引の裏には、時に不当な労働や人権侵害、環境破壊、紛争や暴力といった社会問題が隠されていることがあります。たとえば「コンフリクト(紛争)ダイヤモンド」。内戦が勃発しているアフリカの地域で違法に採掘され、その売却で得た利益が反政府組織の資金源となり、内戦を長引かせま す。こういった紛争に寄与しないために、紛争地域以外の倫理的な環境で採掘されたコンフリクト・フリーなダイヤモンドを扱う企業も増えています。また、児童労働や労働搾取も問題視されています。エシカル・ジュエ リーを通じて、発展途上国での雇用創出や労働者への正当な対価の支払い、女性の職業訓練、子どもの教育や医療などインフラ整備へ貢献など、さまざまな取り組みが行われて います。一般の消費者にはなかなか判断が難しいエシカルの基準ですが、国際的な評価機関もあり、定められた基準をクリアすることで信頼を担保することに一役買っています。 現在、日本のエシカル・ジュエリーブランドを見ると、圧倒的に女性の起業が目立ちま す。彼女たちに共通しているのは、強い信念と実行力。そして、そもそもジュエリーが好きな人が多いのも特徴です。きちんとビジネ スとして成り立たせることが継続的な支援につながるため、「エシカルだから」売れるのではなく、「素敵だから」と買ってもらえるようなデザインやクオリティで勝負しようとしています。美しいジュエリーに関わるすべての人が笑 顔であれるように、あなたができることとして、エシカルなジュエリーという選択肢があることをぜひ知ってほしいと思います。


トップ画像:画像提供アースライズ。アースライズは世界のエシカルジュエリーブランドが加盟する国際的非営利組織Jeweltree Foundationに日本で初めて加盟したブランド。

『Brand Jewelry 2015Summer-Autumn』の記事(Written by YAJIMA Momoko)を再編したものです。


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