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『パールのあるシーンVOL.3 』真珠の自然のカラーを楽しむ

Written by TOSHISHIGE Yukiko

黒蝶真珠は悲しみの席のためのもの、と思い込んでいませんか? それは大いなる間違い。黒蝶真珠の微妙な色は、多様なファッションと相性がバツグン。


パールと一口にいってもさまざまな種類があることをご存知でしょうか。真珠を作り出す母貝と呼ばれる母なる貝によって、それぞれ特徴ある真珠が生まれます。

世界中に貝の種類は10万種とも言われますが、 美しい輝きやカラーを持つ魅力ある真珠を生出す貝はごく限られた数種。養殖真珠の種類としては、アコヤ真珠、白蝶貝真珠、ゴールデンカラーパール(白蝶貝真珠の一種で金色のもの)、黒蝶貝真珠、淡水真珠、マベ真珠などがあげられます。どの種類の真珠も独特の特徴を持ち、それぞれが美しく、大いなる魅力を持っています。

真珠といえば、一般的にはアコヤ真珠を思い浮かべる方が多いと思います。日本近海に生息するアコヤ貝で養殖され、真珠の大きさは大きくても直径10ミリ位までですが、微妙な色合いと美しい光沢を持ちます。一方、白蝶貝真珠や黒蝶貝真珠は、母貝も大きく、小さな真珠でも9〜10ミリ以上、大きいものでは20ミリ以上と大きく、インパクトのある真珠です。今回は、これからのシーズンにおすすめしたい黒蝶貝真珠の魅力やその装いについてお伝えします。

黒蝶貝真珠の母貝は黒蝶貝。養殖は日本の沖縄が始まりで、今ではタヒチ産が主ですが、南の島フィジーやクック諸島、また、少量ですが沖縄でもまだ養殖されています。

歴史的に著名な銀行家ヘンリー・フィリップ・ホープが愛し、王冠のデザインが施された「ホープ真珠」は、1839年にロンドンで刊行された宝石カタログに初めて紹介されました。この全長約5センチ、重量約85グラムという巨大でミステリアスな真珠を育んだのは天然の黒蝶貝の亜種です。

さて、秋冬の装いに黒蝶貝真珠をおすすめする理由は、バリエーションが豊かな色合いと形にあります。色は黒だけと思われる方が多い黒蝶貝真珠。希少価値が高いピーコックグリーンという緑がかった黒色の他にグレー系、レッド系、ブルー系、モスグリーン系などさまざまな色の系統があります。また、形は最も評価が高い真円に加え、ドロップ形、オーバル形やバロックなどがありますが、核がなく偶然にできるユニー クな形のケシ真珠も魅力的です。

ところで、「黒蝶貝真珠は弔事につけるもの?」という質問をよく受けます。悲しみの席には、アコヤ真珠や黒蝶貝真珠のシンプルな一連のチョーカータイプのネックレスや輝きを抑えた控え目なデザインのブローチ、イヤリングなどが相応しいとされており、一概に黒蝶貝真珠を装うということではありません。西欧ではジェットが本流で、日本の皇室も使っておられます。

多様な色の中で、最も派手なのは黒。むしろ、黒蝶貝真珠は華やかなジュエリーです。特に落ち着いた黒の中に見えるほのかなグリーン、レッド、ブルー、ブラウン……を生かしたジュエリーはおしゃれ上級者に似合います。例えば、

  • レッド系の黒蝶貝真珠のペンダントとピアスを 黒のタートルネックのニットや白いシャツに合わせてカジュアルに。
  • 変形のバロックやケシを使ったチェーンパールやペンダントはニットのドレスにつけてランチの装いに。
  • 真珠の多彩な色を組み合わせた黒蝶マルチカラーネックレスはリトルブラックドレスに。この場合はシンプルで小粒なダイヤモンドなどパール以外のイヤリングがおすすめです。
  • 黒蝶貝真珠の微妙な色合いをブラックからグレーまで、そして白蝶貝真珠と合わせたグラデュエーションカラーのネックレスはシックなパーティドレスの胸元に。
  • グレー系の黒蝶貝真珠を使った小粋なデザインのブローチは冬の定番、黒のコートや今シーズン復活してきたジャケットの襟もとに。イヤリングは黒蝶貝真珠のダングリングなどを合わせれば最高の演出になります。

おしゃれを本格的に楽しむ季節、海の自然が創り出す黒蝶貝真珠の微妙な輝きをワードローブ計画に取り入れてはいかがでしょう。


利重 由紀子 (Toshishige Yukiko)
株式会社ミキモト入社。1989年広報課新設時に広報課長。1994年消費者と企業のパイプ役、日本ヒーブ協議会会長。この経験から業界初のお客様相談窓口設置に関わる。その後、広報宣伝部長、商品開発部長。現在フリーランスとして執筆活動をはじめ、ジュエリーに関わるさまざまな業務に従事している。

Top画像: 金子真珠


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