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9月の誕生石はイギリス王室との関係も深いサファイア。今もなお愛されるダイアナ妃からキャサリン妃に継承された婚約指輪もサファイア

Written by MACHIDA Akemi

最上級のサファイア、カシミール産のコーンフラワーブルーは手に入らないと言われているが、ホント?


サファイアは古代ローマ人の間では知恵を象徴し、冷静さや決断力を発揮する石として重宝されていた。

今年は猛暑続きの暑い夏となりました。まだ残暑が厳しい9月。そんな時には、心理的に涼しくなれる色、ブルーの宝石を身につけてみませんか。

9月の誕生石は、雲ひとつない澄み切った秋晴れの空を思わせるサファイアです。モース硬度は9で、ダイヤモンドに次いで硬いとされています。耐久性に優れているので、普段使いのリングにも比較的安心してつけられます。

語源は、青を意味するラテン語の「sapphirus(サッピルス)」、ギリシャ語の「sappheiros(サピロス)」からきています。鉱物としてはコランダムに属し、本来コランダムは無色透明ですが、チタンや鉄が不純物として混入すると青いサファイアになり、クロムが混入すると赤いルビーになります。同じ鉱物なのに不純物の違いで青になったり、赤になったり、自然の神秘を感じます。サファイアと言うと、一般には青色のイメージがありますが、ピンクや黄色、紫などほぼ全色存在しバリエーションが豊富です。ピンクがかったオレンジの宝石は、パパラチアサファイアと呼ばれ人気があります。

リング「ディオール ディオール ディオール」K18WG・サファイア。(参考商品)Dior

サファイアのおもな産出国は、スリランカ、ミャンマー、マダガスカル、オーストラリアなどです。産地によって色味が異なり、価格も変わってきます。ルビーの産出国でもあるミャンマーでは、ルビーの産出量よりかなり少ないのですが、良質のサファイアが採れます。通常は加熱処理をして色を改良しますが、本来の色が美しいものは非加熱のサファイアとして出回るものもあり、それは高額で取引されます。

1881年頃、インドとパキスタンの国境に位置するカシミール地方で発掘されたコーンフラワー(矢車草)ブルーと呼ばれるサファイアが最上級の色味と言われています。青色にわずかに白っぽい絹のような光沢が見られる、全体的に柔らかなブルーの色合いが特徴です。現在は産出されていないため、市場に出回ることもないので、幻の宝石と言われています。幻のような希少石なので、オークションに出品されると激しい競り合いになり、2013年サザビーズオークションに出品された2つのカシミールサファイアのセット合計20ctは、約8億8000万円という価格で落札されました。

色の美しさだけでなく、サファイアが持つストーリーやロマンにも惹き付けられます。サファイアの歴史は古く、古代ローマ人の間では知恵を象徴し、冷静さや決断力を発揮する石として重宝されていました。「持つ者は必ず世界を征服する石」と言われ、ナポレオンが手にしていたといいます。

ブレスレット「ディオール ディオール ディオール」K18PG・ピンクサファイア・ダイヤモンド。Dior

また、天空を象徴するサファイアは神の存在に近いとされ、ローマ法王をはじめ枢機卿たちが指輪にしていたようです。サファイアをつけると神の意思を伝えられるとして、人々の悩みを救うと信じられていました。信頼・誠実の象徴ともされるサファイアは、イギリス王室との関係も深く、何世紀もの間サファイアは大事にされ王冠やティアラなどの宝飾品を飾っています。

サファイアと言うと、ダイアナ妃のリングを思い浮かべる方も多いでしょう。その後、指輪はウィリアム王子からキャサリン妃へ婚約指輪として受け継がれました。当時、そのニュースが報じられると、世界中でサファイアを選ぶカップルが急激に増えました。キャサリン妃が公式な場所で公務を行う際には、常に左手の薬指にダイヤモンドで取り囲んだ大粒のサファイアの指輪が輝いていて、ファッションとのコーディネートもお手本になります。

王室のイメージもあるサファイアは、高貴で上品な印象を与えます。ハッキリとした目立つ色味なので、合わせづらいと思う人もいるかもしれませんが、シンプルな装いになら、どんなスタイルでも似合います。特に、寒色系のネイビーや紫や淡いブルー、グレーなどに合わせるといいでしょう。知的な雰囲気がアップするので通勤着にも適しています。在宅勤務で上半身だけが映るテレワークの時には、サファイアのネックレスをつけるのもおすすめです。

イヤリング「ニューヨーク・コレクション」<シティ・ライト>Pt・サファイア・イエローダイヤモンド。Harry Winston

リング「コンケット レガリア」K18WG・イエローサファイア・ダイヤモンド。Louis Vuitton

*トップ画像:リング「メイサ ラ メザンジュ」K18WG ・タンザナイト・サファイア・イエローサファイア・ブラックサファイア・ツァボライト・ラピスラズリ・オニキス・ダイヤモンド。Boucheron

*ジュエリー画像:雑誌Brand Jewelry2018WINTER-2019SPRINGより。

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