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ブランドジュエリーオリジナルの特集記事です。

Women with Big Visions 台湾のハイジュエリー作家、シンディ・チャオ(Cindy Chao)の作品にはアートと作りとファッションが共存する

「台湾人には、継続と根気の文化が根づいているの。それは、どんな障害も乗り越えて自分のゴールに向かっていくというもの。私はジュエリーを作る時、 技術面でどんな難しいことにもあきらめません」

Women with Big Visions

Written by Olivier Dupon, Translated by MURAMATSU Chihiro


シンディ・チャオの有機的で立体的なジュエリーは、彼女の父が彫刻家で、祖父が台湾で有名な寺院の建築を手掛けていることに大いに影響を受けています。 大ぶりなサイズを好み、大作のいくつかにはチタンが使用されています。 単一の大粒の石に小粒の希少石が寄り添っていたり、まるで宙に浮いているようにセッティング された作品が多く見られます。大小の宝石の対比が石の美しさを強調し、流れるようなパヴェの群れの中で主役の宝石が荘厳な輝きを放ちます。言い換えれば、魅力的な石が高貴なマグマから出現するといった感じです。

熟練の職人技と芸術性の融合を追求し、シンディは代表作ともい える作品を発表しています。例えばバタフライ。 2008 年以来、毎年制作しているブローチのシリーズの「ブラックレーベル マスターピース ジュエル」の最新作は、彼女の作品の中で最も評判の高いものです。

シンディの素晴らしい作品は 、彼女が実際見たり学んだりしたことがきっかけになっています。14 年程前から彼女のブランドはハイジュエリー、純粋に芸術作品、そして身につけることができる魅力的な彫 刻として、百戦錬磨のコレクターに熱烈に支持されています。

鹿ブローチ。メインのエメラルドは 10.07ct、六角形シェイプ。K18・チタン・エメラルド・ダイヤモンド・サファイア。Cindy Chow
魚のブローチ。31.18ctの巨大なエメラルド、107.79ctのダイヤモンドを用いて制作。Cindy Chow
羽ブローチ。チタン・エナメル・ファンシーイエローダイヤモンド。縦約18cm。2017年、クリスティーズ香港でUSD1,121,932で落札。Cindy Chow
バタフライブローチ。K18・チタン・ダイヤ モンド・サファイア。2012年のクリスティーズ・ジュネーヴのオークションでUSD952,866で落札。Cindy Chow

Interview

Q1. 制作の上で、一番の思い出とは?

幼少期、彫刻家の父のそばにいて、彼から彫刻についていろいろ学びました。 ジュエラーとなって、2011年父と2人で 「ブラックレーベルマスターピース XVIII」、牡鹿のブローチを制作しました。その時、あまり見ない八角形の形をした 10.07ctのエメラルドにパヴェダイヤと色石総計30.42ctを使い、父が本物そっくりの鹿の彫刻を作り、私がそこに手を加えました。制作の過程を通して、牡鹿の形やイメージについて私たちの間では口論になり、かなり激しい喧嘩もしました。お互い個々の解釈について、一番重要な点だったからです。でもハイレベルで共鳴する部分を見つけるために2人で切磋琢磨して過ごした日々はとても 楽しかった。

Q2.あなたが好きな伝統的な技術や自社で開発した技術を知りたいのですが。

ワックスによる彫刻が好きです。立体的なワックスモデルを実物大で作り、最終的にそれがジュエリーになります。新しい技術を開発するというより、スタッフと一緒に、伝統の限界を超えるために挑戦するということが重要だと思っています。

Q3.バタフライシリーズについて詳しくお話ください。

チョウの寿命は、はかなく純粋です。 短期間にさまざまな形に変化する。こうした変化は、私がアーティストとして経験していることと似てい るような気がします。形を変え、自分自身の制作意欲を掻き立て、何か純粋で美しいものを分け合う。完成作品よりも自分の命の限りまで押し進めることにスリルを感じます。私は2008年から毎年チョウに命を懸けているの。

Q4.あなたのデザインの多くは石が浮いているように見えます。その秘密は?

例えば、冬の葉のネックレスや冬の葉のブローチを、一部のコレクターが私に「ダイヤモンドが浮いているように見える」と話すけれど、実際には普通にセッティングしていて、視覚効果によるものです。私はよくさまざまな大きさの石を使いますが、慎重に計算した設計に基づいて、同じ高さの位置に、平らにセッティングしています。触ってみればなめらかで、同時にジュエリーのうねりや、ゆがみが際立っていることに気づくと思いますよ。

Q5.デザインに台湾らしさを入れていますか?

クリエイターとして、私は自分の作品 において努めて文化、言語、そして国境を打ち破ろうとしています。たとえば、フォーエバーマーク(デビアス)とコラボ制作した王朝の美しい扇子 Majestic Beauty Fan は、古代中国の扇子をヒントにしたもので、世界でも大きなダイヤモンドをセットしたアート作品の1つ。そうは言っても、私のデザインの目に見えない部分には台湾的なものがあることは認めるし、注目すべき点だと思います。台湾人には、継続と根気の文化が根づいているの。それは、どんな障害も乗り越えて自分のゴールに向かっていくというもの。私はジュエリーを作る時、 技術面でどんな難しいことにもあきらめません。

Q6.特に女性のためにデザインする上で、同じ女性として気を付 けている点は?

女性のクリエイターとして、私は女性がジュエリーを身につける習慣を注視しています。女性は一般的に軽いものが好きです。重いイヤリング、ブローチは敬遠されがち。そういう理由から、私はジュエリーの軽量化を常に研究してます。

ウィンター・リーブス・ネックレス。エナメル・チタン・ ファンシーカットダイヤモンド。Cindy Chow

(クレジット)
Olivier Dupon
21st century tastemaker and author of Fine Jewelry Couture(2016), SHOE(2015),Encore! The New Artisans (2015), Floral Contemporary (2014), The New Pâtissiers (2013),The New Jewelers(2012) and The New Artisans(2011), all published by Thames & Hudson.

Excerpt from Brand Jewelry 2018Summer-Autumn

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