10月の誕生石は、遊色効果Play of Colorをみせるオパール。ニュアンスのある奥深い色彩に惹かれる人は多い
Written by MACHIDA Akemi
赤やオレンジ色のファイヤーオパール、夜空のオーロラのようなブラックオパール、乳白色のホワイトオパール、遊色効果のないコモンオパール。オパールのカラーはとても多彩。
オパールの王様と呼ばれるブラックオパールは、日本人女性に根強い人気がある。1つの宝石の中に、いくつも色が混ざっているためファッションとのコーディネートも決まりやすい
晴れたり、曇ったりと10月のコロコロと変わる空模様のように、カラーがさまざまに変化するオパールは、10月の誕生石です。オパールの魅力は何と言っても、独特な虹色の輝き、遊色効果「Play of Color」にあります。特に加工を施しているわけでもないのに、これだけのカラーをみせる宝石は他にはありません。
オパールの語源は、貴石を意味するラテン語のオパルス(Opalus)や、ギリシャ語で色の変化を見るという言葉のオパリオス(Opallios)からきていると言われています。おもな産地は、オーストラリアとメキシコです。オパールは結晶構造を持たない準鉱物ですが、38か国の団体で構成される国際鉱物学連合で、オパールは正式な鉱物と認められています。
ホワイトオパールのイヤリング
オパールの歴史は古く、古代ギリシャでは未来を予知したり、病気から身を守ってくれる石とされていたようです。1428年頃からメキシコで栄えたアステカ文明時代には赤やオレンジ色のファイヤーオパールが採掘され、「太陽神の化身」として崇められたといいます。ヨーロッパでもはるか昔からオパールは王族や貴族に愛されました。特にイギリスのヴィクトリア女王がオパールを好んで身に着けていたようです。
オパールは虹色の遊色効果が現れるプレシャスオパールと、遊色効果がなく地色のそのままの美しさを指すコモンオパールの2つに分類されます。オパールは世界中で人気ですが、特に日本人好みのジュエリーと言われています。その中でもダークな地色にカラフルな遊色効果が現れるブラックオパールは、根強い人気があります。
オパールの王様と呼ばれるブラックオパールは、オーストラリアのニューサウスウェールズ州、ライトニングリッジで採れます。1902年に発見されて以来、夜空に浮かぶオーロラのような幻想的な色味が人々の心を捉えて離しません。地色が暗ければ暗いほど、赤や緑や青の色彩パターンがより美しく際立つため高額で取引されています。しかし、年々生産量が減少していて、良質なものはほとんど採れなくなっています。
ブラックオパールのイヤリング
半透明から不透明のホワイトを背景に持ち遊色効果があるものは、ホワイトオパールと呼ばれ、日本では若い世代に人気があります。ファイヤーオパールは、地色が赤や黄色、オレンジで、遊色効果を示すものもあり、それらはメキシコオパールとも呼ばれています。水の中に遊色効果が現れる瑞々しい印象のウォーターオパールも人気。ゆらゆらとまるで水に浮いているような輝きはずっと見ていても飽きません。
オパールには、なぜ遊色効果が現れるのでしょうか。均質に見えるオパールですが、実は小さな球状や塊状の粒子が集まったものであり、その球の隙間を通過する時に、光が反射しきれいな色を生み出します。光が当たった時にその粒子が小さいときは紫、中間が緑、大きな場合は赤という具合に輝きます。
カットのデザインは、石そのものの美しさ、遊色効果を生かしたカットが適しているので、丸くつるんとしたカボションカットが多くなります。ハイカボションカットというドームに高さがあるカットは特に価値が高くなります。
ボルダーオパールのブローチ
オパールは衝撃に弱いため注意が必要です。モース硬度で言うと、ダイヤモンドが10に対し、オパールは5~6と柔らかいため、傷がつきやすいのです。またオパールは乾燥に弱いため、直射日光やドライヤーの熱が直接当たらないようにしましょう。
1980年代、大粒のオパールがブームとなったことがあります。その時代は日本が好景気に沸き、女性たちがファッションにお金をかけていた時代です。当時の高品質なオパールのジュエリーは、祖母や母の宝石箱に眠っているかもしれませんし、あるいは買取り店で探すことができます。
祖母からオパールのリングを譲り受けたけれど、デザインが古くてつける気になれないという方はリフォームしてみてはいかがでしょうか。リフォームの専門店にお願いすれば、シンプルで毎日つけたくなるリングに生まれ変わるでしょう。
ホワイトオパールのネックレス
*トップ画像:ファイヤーオパール・ダイヤモンドリング Palimiero
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