2020.12.19
STORY

12月の誕生石は、神秘的なブルーに魅せられるトルコ石。クモの巣状の模様が入ったスパイダーウェブを好むコレクターも。

Written by MACHIDA Akemi

古代エジプトの時代から天空の神が宿る石として使用。昔は王族貴族だけが身につけられる貴重な宝石で、旅のお守りや落馬から身を守る石として大事にされていた。

濃い青から白っぽいもの、緑がかった色など1つ1つ色が違う。イラン産のものが最高品質とされ、その均一で混じりけのないスカイブルーは日本女性にも好まれている。

トルコ石というと、バングルやネックレスなど肌の露出の多くなる夏につけたくなるというイメージがありますが、じつは冬の厚手のファッションにもよく似合うジュエリーで、12月の誕生石に設定されています。今は比較的手に入りやすい石ですが、昔は王族貴族だけが身につけられる貴重な宝石でした。

トルコ石は人類が大昔に堀り出した宝石のひとつで、古代エジプト、アステカ、メソポタミアなど多くの大文明時代に、邪悪なものから身を守り、パワーがあるとしてお守りとして使われてきました。ヨーロッパでは、繁栄の石とされ、旅のお守りや、落馬による怪我から身を守るお守りとして珍重されていたようです。面白いのは、身に着けている人の健康状態でトルコ石の色が変わるという言い伝えがあったようです。

ヴァンクリーフ＆アーペルVan Cleef & Arpels/Brand Jewelry 2016Summer-Autumnより。

トルコ石と呼ばれるようになった語源の由来は、フランス語のPierre turquoise(トルコの石)からきています。誤解されやすいのですが、トルコで採れるからトルコ石ではなく、じつはペルシャ(現イラン)やエジプトで採れたトルコ石が、トルコを経由してヨーロッパに広まったことから、トルコ石と呼ばれたようです。

産出は大きく分けると2つあり、1つは中東のイラン、もう1つは米国でアリゾナ州、ネバダ州、ニューメキシコ州などです。採掘されたところが同じ州でも1つ1つ模様や色が違っていて、1つとして同じものはありません。昔は、多く採掘されていたトルコ石ですが、最近は閉山した鉱山もあり、良質なものはほとんど採れなくなっているのが現状です。

キャスミン。CASMINE/Brand Jewelry 2016Summer-Autumnより。

どの場所で採れても共通しているのは、トルコ石が天空の神々の力が宿る神聖な石として大事にされてきたということです。特にアメリカの先住民、ネイティブ・アメリカンと関わりが深く、儀式や護符に使用されていました。また父から息子へと代々受け継がれていたことから、自分で買うよりも他の人からプレゼントされるほうが幸運なことが起こると言われています。

色は濃い青から白っぽいもの、緑がかった青など多くの種類があり、トルコ石の色は？と聞けば1人1人連想する色は違うでしょう。トルコ石の色を決定づけるのは鉄と銅の量です。鉄を多く含有すると緑色になります。冬の澄み切った空のようなブルーは銅によるものなのです。

トルコ石のカラーの好みは人それぞれです。イランで産出されるものが最高品質とされ、その均一で混じりけのないスカイブルーは日本女性にも好まれています。その一方でクモの巣状の模様が入ったスパイダーウェブが好きな人も多くいて、コレクターがいるほどです。斬新なジュエリーを創ろうとしているデザイナーの中には、細かい網目のマトリックスが入ったものやグリーン色が強いトルコ石を探している人もいます。

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