1月の誕生石は、ボルドーワインのような濃い赤が印象的なガーネット
Written by MACHIDA Akemi
2021年は実り多い年になりますように!「実り」や「強い結束」という意味が込められているガーネット。お守りのようにつけてみたい。
ガーネットは1月の誕生石として知られ、深い赤の宝石をイメージする人が多いでしょう。しかし赤以外にもオレンジ、ピンク、イエロー、グリーンなどさまざまなカラーが存在します。
古代エジプトの時代には、すでにガーネットのビーズのジュエリーが作られていたといいます。語源はラテン語で種子を意味する「granatus」からきており、日本ではザクロ石と呼ばれています。言われてみれば、ザクロの実の透明な赤色に似ています。発見されるときに、結晶が種のように岩石にびっしりと張り付いている様子もザクロに似ているそうです。
ガーネットは化学組織が近い鉱物のグループ名で、色によってさまざまな名前がつけられています。赤色のガーネットでも含有成分の違いによって微妙に色が変わり、最もポピュラーな紫がかった赤はアルマンディンガーネット、深い赤はパイロープガーネット、ピンクっぽい赤はロードライトガーネットなど呼び名が変わってきます。
ガーネットはインド、スリランカ、ナミビア、マダガスカル、ロシアなど世界各国で採れます。もっとも人気の高いのはベーシックな赤ですが、最近はロシアで発見されたグリーンの宝石、デマントイドガーネットのファンも増えています。ダイヤモンドよりも強い分散光を放ち、馬の尾のような繊維状の結晶「ホーステール」と呼ばれるインクルージョンを含んでいるのが特徴です。他にツァボライトと呼ばれるグリーンの色も注目されています。1960年代にケニアのツァボ国立公園から発見され、これにティファニー社がツァボライトと命名し販売したのが始まりです。新緑のような鮮やかなツァボライトは、同じ緑色のエメラルドに劣らない魅力があります。
オレンジ色のフレッシュなみかんを思わせるスぺサルタイトガーネットも人気があります。中でも明るいオレンジのカラーは、マンダリンガーネットという別名がついています。エメラルドやルビーなど一般に多くの宝石は加熱処理がされていますが、ガーネットは研磨以外に手を加えていないので、無処理にこだわる人には嬉しい宝石と言えます。
古代エジプトの時代では、ファラオの装飾品やお守りとしてガーネットが使われ、暗い道を照らす光のシンボルとして大切にされてきました。旧約聖書では、ノアの方舟の進路を灯す宝石として登場しています。中世ヨーロッパでは、怪我をせず生還できるとされ、兵士が戦地に赴く時に身につけていたようです。
1837年から1901年のヴィクトリア朝時代に、ボヘミア(現在のチェコ共和国)で採れたガーネットに人気が集まり、小粒のガーネットを房のように集めたブローチやネックレスなどが多く作られました。宝石は王族貴族だけが身につけられる贅沢品でしたが、産業革命以降、財を成した振興富裕層の人たちが装飾品を身に着けるようになり、ジュエリーのニーズが高まりました。そしてルビーの美しさに劣らないガーネットが人々に支持されたのです。その当時の精巧な作りのガーネットのジュエリーは、アンティークショップで見つけることができます。
ルビーの赤とは趣が異なり、少し黒味を含んだボルドーワインのような濃いガーネットの赤は、成熟した大人の女性に似合います。小さな種子をたくさんつけるざくろのイメージから、ガーネットには「実り」や「強い結束」という意味が込められ、大切な人との愛情が深まるとも言われています。これからの1年が実り多い年になりますようにと、お守りのようにガーネットのジュエリーを身につけてみてはいかがでしょうか。
*トップ画像:パリのモードからインスパイアされてデザインされるニナ リッチ ジュエリー。「アンジェヌ」K18・ガーネット・ダイヤモンド リング&ネックレス (エスジェイ ジュエリー)NINA RICCI
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