原産地がわかるカラーストーンのBtoBオンライントレード
Written by WATANABE Ikuko
最も古い職業、宝石業も無視できないクラウドメソッド。トレーサビリティは常識化されていく。
初めてオンラインに登場。追跡可能なグリーンランド産のルビーとピンクサファイア
新型コロナウイルス感染症の発生によりオンラインのビジネスが拡大しています。オフラインの経済活動がスムーズにできない今、最も古い職業の一つと言われる宝石業もそろそろクラウドメソッドを無視することはできないでしょう。
バンコクとロンドンに拠点を置くジェムクラウド(GEMCLOUD)は、昨年B to Bを対象にしたカラーストーンの取引ソフトウェアを開発しました。ソフトフェアは月89.99USD、また1年間960USDで使用でき、カラーストーンの在庫をクラウド上に登録し、顧客にシェアしオンラインで販売できます。現在はパソコンとタブレットのみですが、まもなくスマートフォンでも対応できるようになります。
ジェムクラウドは、パンデミックによって国際的なジュエリーフェアの中止や縮小が起こり、実物を見ることができない、旅行ができない、握手ができない、そうした不便さを解消するビジネスオーケジョンを提供しています。旅費を削減できるため、新型コロナウイルス感染症が終息した後も、イベント主催者にとって強敵ライバルの登場です。
4月、グリーンランド産のルビーとピンクサファイアを販売するジェモリス(Gemolith)は、ジェムクラウドのソフトウェアを導入し、自社のサイトで販売を開始しました。28種類、約10,000点を掲載しています。
食品などと同様に、宝石のトレーサビリティに注意を向ける消費者が増えていますが、そうしたニーズに応えて、オンライントレードは、追跡可能な宝石の魅力や価値を広範囲に伝えていくことができるとジェモリスは確信しています。グリーンランドで採掘されるルビーとピンクサファイアの起源は30億年前に遡り、2017年初めて採掘が開始された、鉱物としては最も古くから地球に存在し、宝石としては最も新しいものです。
カラーストーンは種類が多く人気が高まっていますが、ただ美しいという理由だけでは販売が難しく、宝石の卸業者はバイヤーの5人のうち3人から出所の質問を受けると言います。
グリーンランド政府もジェムクラウドを導入し、ルビーが採掘から研磨、出荷まで自然環境、労働基準を守っていることを政府が保証し、専用の保証書を発行しています。
さらにジェムクラウドは、北極グマ、グリーンランドの移住者の支援活動などに取り組んでいます。宝石業は地球環境に深い関わっている業態。どう環境と関わっていくか、企業は社会的責任を問われています。
*トップ画像:Greenland Ruby