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ジュエリーと、ジュエリーにまつわるさまざまなエピソード

No.30 フィンランドのジュエリー。コンテンポラリーを突き進む

BJI ブログ No.30

ここ10年以上ファッションからライフスタイルまで、世界中から注目され続けている北欧のアイテム。当ブログNo.22でデンマークのジュエリーデザイナー、SOPHIE BILLE BRAHE(ソフィ ビレ ブラーエ)を取り上げましたが、今回は、カナダ・モントリオールのプライベートギャラリー、Galerie Noel Guyomarc’h (ギャラリーノエル ギュヨマルク)で5月29日まで開催のフィンランドのコンテンポラリージュエリー展をご紹介します。

1999年に結成されたジュエリーアーティスト集団「Hibernate (ハイバーナイト=おこもり)」のメンバー4人が、simultaneousness(リアルタイム)というテーマで、主なスケッチやアイデアは共有しながらそれぞれの作品を制作。お互いに独立した作品でありながら、全体的にバランスが取れたジュエリースペースになっています。

メンバーは、フィンランドやスウェーデンの大学や専門学校でジュエリーを学び、ジュエリー制作の道に進んだ人たち。大学で教鞭をとったり、ワークショップなどの経験、さらに国内外でグループ展や個展を開催したり、本を出版したりとさまざまなキャリアを積んできました。1人ずつ作風をご紹介します。

1人目は、2013年 ミュンヘンで開催されるコンテンポラリージュエリーの国際コンペティションschmuck(シュムック)で、Herbert Hoffman Prize受賞の経歴を持つHelena Lehtinen (ヘレナ レティネン)。小さな日常の物からインスピレーションを得て、木、金属、リサイクル可能な素材を扱い、輪郭があまりはっきりとしないほんわりとしたジュエリーを制作しています。サークル状に切り抜いたヴィンテージの布を組み合わせた胸元から腰までの大ぶりのネックレスやヴィンテージの布に長めのビーズが滝のように流れるブローチ、コーラルピンクの細かいビーズを幾重にもつなぎ合わせた筒状の形をしたブローチなど、そこにはゆったりとした時間が流れています。

2人目のEija Mustonen(エイジャ ムストネン)は、長年、金属を素材に、身体を保護するオブジェのようなジュエリーを発表しています。実用性には欠けますが、身に着けてみると鎧のようなずしりとした存在感。今回の展示では、金属を蛇腹のように幾重にも折りたたんだブローチやネックレスが印象的です。

3人目のTarja Tuupanen (タルジャ トゥパネン)は、20年以上にわたり、石を素材にしたジュエリーを発表しています。彼女にとって、石はただの素材ではなく、何かを見つけたり知るための発端となるものだそう。一時、石とは違う、たとえば骨を素材にしたこともありましたが、結局やはり石に戻ってきてしまったとのこと。黒の大理石を使ったごろっとしたペンダントネックレスやスクエア型の平たいブローチは、どれも装飾を排したシンプルなスタイル。石のカッティングに特徴があり、完成度の高さも感じさせます。

最後にご紹介するのは、Jenni Sokura(ジェンニ ソクラ)。今までに様々な素材を扱ってジュエリーを制作してきましたが、今回の展示には、木にこだわっていて、食べ物、特にファーストフードをテーマにしているそう。何枚もの層で構成された作品は、バラバラにされたサンドイッチのようにも見えます。

ポップで遊び心のあるデザインは、もう少し小ぶりにして素材もゴールドやシルバーなどに変えてみたら、カジュアルな日常使いのジュエリーになりそうです。(C)

画像:Galerie Noel Guyomarc’h(ギャラリーノエル ギュヨマルク)HPから


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