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No.60 「ティファニーブルー」が消える! LVMH傘下で新たなティファニーの構築

BJI ブログ No.60

2021年1月、あのティファニーが、フランスのLVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン グループ(以下、LVMH)の傘下に入りました。LVMHは新しい役員を登用、現在様々な変革が進められています。

最初にショックを受けたのは、ティファニーを象徴するブランドカラー、「ティファニーブルー」をイエローカラーへと変えたこと。

4月1日(エイプリルフール!)にインスタグラムでその色のパッケージが披露されネットでは大騒ぎとなり、さらに1か月後にビバリーヒルズにオープンしたポップアップストアは、家具からショッピングバッグまであのブルーを一切排したイエローになっていたというからびっくり!

向こう1年かけて、世界各地の店舗で「ティファニーイエロー」を導入する計画だということで、これから徐々にブルーがイエローに取って代わるということになっていくのでしょう。

LVMHで10年働いた経験を持つアメリカのコンサルティング会社、AHラグジュアリーコンサルティング(LuxuryConsulting)の創業者アラン・フイによると「彼らは話題作りのため、そしてSNSで注目を集めティファニーを古くさいと感じている若い消費者の関心を引くため、一定期間にわたってイエローカラーを使うつもりなのではないか」と語っています。

ブランドも時代や置かれた状況によって変革が求められるのは仕方のないことですが、ティファニーと言えばあの「ブルー」が代名詞だったのに、いきなりイエローでは違和感ありすぎ! イエローカラーは、ニューヨーク5番街の本店に飾られ150年近くも人々を魅了し続けている128.54カラットのクッションカットダイヤモンド、「ティファニーイエローダイヤモンド」に起因しており、現在イエローダイヤモンドは、若い消費者に向けて伝統と新しさをアピールすべく、ビバリーヒルズのポップアップストアに飾られているのだそう。

商品価格にも変化がでてくるよう。現在は150ドル(約1万6000円)の銀製ペンダントから数千万ドルのダイヤモンドネックレスまでと価格が幅広く、ジュエリービギナーの若者や予算が限られている消費者にも手に届きやすいというのが特徴ですが、今後は富裕層(特に中国をターゲットとした)顧客を魅了するためにより高級な製品へとシフトしていくようです。

7月には、ロサンゼルス周辺にシルバージュエリーを身に着け斜に構える20代女性のポスターによる新キャンペーンを発表、その画像はSNSにもアップされました。

そのスローガン ”NOT YOUR MOTHER’S TIFFANY”(あなたのお母さんのティファニーではない)が、インターネット上で大きな波紋を呼んでいます。

ティファニーとしては、若い世代に向けて「ティファニーは変わった」ことをアピールしようとしているのはわかるのですが、母親世代からは否定的なツイートや意見が寄せられています。

たとえば「現在の顧客を失うことになっても、新たな顧客を獲得することはないだろう」

「私は母親ですが、ティファニーを現在の地位に押し上げた世代を侮辱するような今のティファニーではもう買うことはないと思う」

Secrets of Stylists(スタイリストの秘密)の著者、サッシャ チャーニン モリソンはインスタグラムにおいて、「私やある世代以上は、もはやティファニーの顧客として必要とされていない。私が知るティファニーを購入する人たちは、皆、現在、店にあるもの以上に『母のティファニー』を愛している。ティファニーが40歳以上のすべての顧客を遠ざけようとしているのはおかしい。私たちはティファニーの熱心なファンであり感動も覚えながら年月を送ってきたのに」とショックを隠し切れません。

一方、イギリスのビジネスマガジン『 Marketing Week』のコラムニスト、Mark Ritson(マーク リトソン)は、「(もし)若くて流行に敏感な顧客なら、再びティファニーでの購入を考えるはず。昔ながらの既存の顧客はインスタグラムで不平を言うのをやめ、店や商品に戻っていくことでしょう」。「それは賭け、大きな賭けですが、勝算やどうなっていくのかがわかっているプロフェッショナルが発信しているものなんですから」と語っています。

ただ実際は反発も多く、ポスターの一部には、スローガンの下に「LEAVE MY MOTHER OUT OF THIS 私の母をこれから遠ざけてください」という落書きまで現われる始末。

果たして、ティファニーはこのネガティブな状況をポジティブなものに変えていけるのか……。

既存のものを壊し新しいものへ変わっていくには痛みを伴うと言いますが、かつてのティファニーを知る世代からすれば一抹の不安や寂しさを感じます。(C)

トップ画像: https://www.campaignjapan.com

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