斬新さを増すダイヤモンドのエンゲージ&ジュエリー。ラスベガスの「クチュール」で発表
Written by Watanabe Ikuko
オーソドックスなダイヤモンドに物足りなく感じている人のニーズに応えるため、いろいろなデザインが生まれてくる。
世界中で経済活動が活発になっています。ジュエリーにもユニークなアイデアや新しいデザインが登場しています。新型コロナウイルスが発生してから約2年間、時間がたっぷりあるのでアトリエにこもって制作しているという話をよく聞きます。外出自粛で店頭の商品の動きは静かですが、制作現場は忙しく、ルースが不足しているとか。このクリスマスには新しいジュエリーがショップやウェブサイトを飾るはずです。待ち遠しいですね。
8月開催されたアメリカのジュエリーイベント「クチュール」では、多数の斬新なジュエリーがデザインアワードに出品されました。入賞したものの中から、今回はダイヤモンドのラインナップを見てみましょう。日本では出会えないデザインが目につきます。
最初は「ブライダルジュエリー」から。日本ではブライダルのくくりには入らないようなデザインです。元々「ブライダル・コレクション」というのは日本人が発想したもので、日本から海外ブランドに普及しました。ジュエリーに慣れていない日本のカップルがエンゲージリングを選ぶのを簡単にするために、くくりを作ったり、マニュアルがあったほうが選びやすいということで考え出されたようです。プラチナ、ダイヤモンド、ソリテールなどなど。ショップの多様なリングの中から自由に選んでいいと言われると、どれを選んでいいのか困ってしまいますが、「こちらがブライダル・コレクションですよ」と案内されると、選択肢が狭まり、決定しやすいという考えです。
個人主義の文化が反映されたブライダルジュエリー
一方、海外の人は個人主義なので、とにかく人とは違うものが欲しいという思考が強く、ゴールド、好きな石、誕生石、ラボグロウンダイヤモンド など、自由に選ぶ傾向があります。アメリカではプラチナに天然やラボグロウンのダイヤモンドリングの人気が高いようですが、ヨーロッパやアジア(日本や韓国を除く)、アフリカではゴールドにダイヤモンド、ルビー、エメラルドなどが主力です。そんな世界の状況を踏まえて、「ブライダル」の上位3位に選ばれたのはリング2点とピアス1点です。1位のRetrouvaiのエンゲージリングはゴールドのボリュームが目につきます。2位のイタリアのBusattiのリングは、ホワイトゴールドにマーキスダイヤモンドのフルエタニティです。ダイヤモンドの角度をよく見てみると、凝った作りであることがわかります。3位のピアスのブラックロジウムとオパール、メレダイヤモンドの組み合わせは一見クラシック風ですが、ラインが有機的で現代的です。大人っぽいウェディングドレスに似合いそうです。
「2万ドル以上のダイヤモンド」というカテゴリーのアワードで1位を獲得したのは、Sutraの緻密なデザインのブレスレットです。2008年にデビューした新進気鋭のアメリカのデザイナーズブランドです。リアーナ、セレーナ・ゴメスなどが顧客です。2位、3位は大きなダイヤモンドが使われています。2位のBAYCOはニューヨークのインド系宝石商です。3位は日本では無名ですが、アメリカでは人気の高い老舗ジュエラー、オスカー・ハイマンです。ダイヤモンドのグレードとレア・レベルが違います。セレブの御用達で、マイケル・ジャクソンも愛用していたようです。
「2万ドル以下のダイヤモンド」では、ピアスが2点選ばれました。今は耳周りのジュエリーにスポットが当たっています。オンラインミーティングで顔がクローズアップされ、表情を豊かに見せるためにも耳のジュエリーは重要です。1位のOndynはニューヨーク拠点の新しいブランドです。動きのあるデザインに取り組んでいるとのこと。2位のピアスはすべてローズカットダイヤモンドですが、この製作者64Facetsはローズカットやラフカットなどイレギュラーなダイヤモンドを得意とするロンドンのジュエラーです。3位のブレスレットはダイヤモンドのカットとセッティングしている位置に注目してみましょう。何気ないけれど、面白い発想です。ニューヨークの女性デザイナーの作品です。「2万ドル以下」は華奢なデザインが中心で、日本人にも似合いそうなものがあります。
ダイヤモンドは長く身につけるものなので、飽きないよう、保守的な目線で選びがちですが、気にいったものなら「デザイン」重視で選んでも飽きないと思いますよ。