No.110 手持ちのジュエリーの手がかりを探す、ホールマークの読み解き方
BJI ブログ No.110
ジュエリーの裏側によく見られる数字やアルファベットなどの刻印といえば思い浮かぶのが、ゴールドジュエリーのK18(当ブログNo.70で掲載)。K18はご存知の通りゴールドの純度が75%(750/1000)という意味で、ジュエリーメーカーがジュエリーの仕上げ時に打刻しているものですが、日の丸のマークとその横に750という数字が入った菱形のマークが並んでいることもあります。
これは、ホールマークと呼ばれ、日本では造幣局が公的な第三者として貴金属製品の製造、または販売をしている事業者からの依頼を受け、貴金属製品に含まれる貴金属の純度の割合を調べる試験(品位試験)を行い、この試験に合格したものにのみ打刻されるもので、持ち込まれた貴金属の品位を国が証明しています。
シルバーの場合は、日の丸のマークに菱形のマークの中に925といった数字が、プラチナの場合は日の丸のマーク菱形の中に900といった数字、さらにその右横に四角に囲まれた中にPtという字が入ったマークがあったりします。
ホールマークの歴史は14世紀頃、英国の貴金属細工業者(goldsmith)の組合が、ロンドンにGold Smith Hall(ゴールドスミスホール)を建て、組合に加入している業者の製造した貴金属製品を検査し、これに合格したものに証明印を打って販売することにより製品の信用を得たもので、ホールで打ったマーク=ホールマークとなったそう。
他にもこの制度が採用している国々がありますが、任意であったり強制であったり、また造幣局をはじめ国の機関が行ったり、指定を受けた業者が行ったりとそのシステムはさまざまです。
またデザインも日本は日の丸のマークですが、たとえばイギリスではゴールドには王冠が、プラチナには宝珠、スターリングシルバー(純度92.5%)にはライオンが左に向かって歩く姿(ライオンパサント)、ブリタニアシルバー(純度95.84%)にはブリタニアの女神がデザインされています。さらにどこの試金鑑定所(Assay Office)で鑑定されたか表すマークが入ることもあり、より詳しい情報を得ることができます。イギリスでは、ロンドン、バーミンガム、シェフィールド、エジンバラと4箇所あり、工場で作られた商品はすべていずれかの鑑定所に送られて刻印が打たれます。
フランスではワシの頭の絵が有名。1838年から使われているマークで、K18ゴールド以上の純度であることを証明しています。他にもK18ゴールド以上を示すフクロウ(他国からフランスに輸入されチェックを受けた時に押される刻印)やプラチナジュエリーにはイヌの頭、銀のジュエリーにはイノシシの頭など動物のものが多いようです。
ジュエリー大国として知られるイタリアのホールマークは、星マーク、数字、アルファベット数字は、貴金属メーカーと認証された際に割り当てられる番号で、アルファベットはイタリアの地方名の略称です。たとえば、★ 1 ARは、アレッツォで最初に割り当てられた貴金属業者で、日本でも知られているウノアエレ。ちなみに1はイタリア語でウノ、Aはア、Rはエレ発音します。つまりホールマーク名をブランド名にしてしまったわけです。イギリスやフランスのホールマークは、今も昔も厳しく管理されていますが、イタリアのホールマークは、日本と同じく任意で刻印されていないものもあるそう。
こうした刻印、とくにフランスのホールマークは、小さなキズのように見えてしまいますが、そのジュエリーの純度や出自を表す重要な情報源。職人さんにリングのサイズ直しなどをお願いする時は、くれぐれも消すことがないように気をつけてもらいましょう!
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