No.199 えっ、ダイヤモンドの中にダイヤモンドが入っている?! その名もマトリョーシカ・ダイヤモンド
BJI ブログ No.199
採掘の過程で木を伐採したり、ダイナマイトを使用したりする自然破壊や、そこで働く現地の鉱夫の過酷な労働環境が問題視されるなど、SDGSの観点からすると最近ちょっと分が悪い天然ダイヤモンド。
素材は同じで、数日から数週間という短い期間で生成できることから、製造コストを抑えられ、価格は天然ものよりも低くなることから、今後、合成ダイヤモンドへとシフトしていくのは理にかなっていると思われます。
しかし、天然ダイヤモンドだからこそ現れる神秘的な現象に驚かされることもあります。
たとえば、2019年に発見されたダイヤモンド。なんと、ダイヤモンドの中にさらにダイヤモンドが入っていたのです。果たして、合成ダイヤモンドで同じことができるものでしょうか。
そのダイヤモンドが採掘されたのは、ロシア・シベリアのサハ共和国の鉱山。その珍しい特徴から、ロシアの木製の入れ子人形にちなんで「マトリョーシカ ダイヤモンド」と名付けられました。
分析したところによると、その重さはわずか0.124グラム、外側のダイヤの幅は米粒の長さとほぼ同じ5ミリ弱というとても小さなもので、8億年以上前のものであるらしいことがわかりました。ほとんどの天然ダイヤモンドは 10億年から35億年の間で生成されることが多いため、ダイヤモンドの中では新しい部類に入ります。
通常鉱物は、中が空洞になることはなく、他の小さな結晶や鉱物の斑点が入り込んで形成されます。
では、このダイヤモンドはどうして、中が空洞になってしまったのか。まだはっきりとした答えは出ていませんが、現時点では2つの説が考えられています。
1つはダイヤモンドが生成する際にマントルのミネラルが閉じ込められ、後に地球の表面上で溶けてしまったという説。もう1つは、ダイヤモンドが猛スピードで生成したため、内部でダイヤモンドの多孔質多結晶の層が生成し、さらに強烈なマントルの働きによって溶けてしまったという説。今までのダイヤモンド採掘の歴史の中で、このようなものはかつて見たことがありません。
2021年、同じようなダイヤモンドがオーストラリアでも発見されています。こちらは0.85カラットのイエローダイヤモンドで14億年前に地表から約200キロメートル下で形成されたと考えられています。 ロシア産のような無色透明のものではありませんが、やはりレアものと言えるでしょう。
人間の英知をもってしても、まだ自然のパワーにはかなわないことを感じさせてくれる一件です。
トップ画像出典:igi.org/gemblog Photo credit: ALROSA
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