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No.201 戴冠式のクラウン・ジュエルズに注目! キリストがはりつけにされた十字架の木製の断片を入れたクロス・オブ・ウェールズ

BJI ブログ No.201

チャールズ3世の戴冠式は、2023 年 5 月 6 日土曜日にロンドンのウェストミンスター寺院で行われます。

かつてエリザベス2世の戴冠式においてはじめてテレビ中継が行われた際、イギリス国内だけで2700万人が視聴したと言われ、今回の戴冠式もまた生中継されることはほぼ間違いと言われています。その中で注目されているものの1つが「クラウン・ジュエルズ」 。通常ロンドン塔で保管されていて、なかなか人目に触れることのない荘厳な宝飾品の数々。

チャールズ3世が身に着けるのは、聖エドワード王冠とダイヤモンドの「カリナンⅡ」がセットされた大英帝国王冠、ダイヤモンドの「カリナンI」がセットされた十字架の王笏などがあります。

今回はさらに、国王チャールズ2世の刻印が刻まれている新しいクロス・オブ・ウェールズが使用されることになっています。このクロスには、教皇フランシスコが戴冠式の贈り物として国王に贈った「真のクロス(イエスが磔にされた十字架)」の遺物が組み込まれています。赤い生地の上の中央に配された木製の小さな十字架がそれにあたり、ローズクリスタルで覆っています。英国の伝統ある金属工芸団体ゴールドスミスカンパニーが主導し、熟練した銀細工職人のマイケル・ロイド氏がデザインと製作を担当しました。

ロイド氏は、「製作には、戴冠式が始まったころの1千年近く前の技術を用いています。このような機会に恵まれたことで、当時から続く歴史や忠誠心を深く学ぶことができました。何の変哲もない銀のシートを267,000回以上もハンマーでたたくという根気のいる仕事から誕生したこのクロスが、5月6日の戴冠式の一部として使用されることを嬉しく思います」と語っています。

クロスには、チャールズ王のホールマークであるヒョウの頭の形をした「キングスマーク」が刻印されています。ホールマークを採用した王は、チャールズ2世が歴史上初。2022年11月ゴールドスミスカンパニーに直接出向いた彼は、自身の手で刻印を打っています。

素材であるシルバーは王立造幣局から提供されたリサイクルシルバー。シャフト部分は再生木材、スタンド部分はウェールズ製のスレートを使うなど、チャールズ王の環境への取り組みが反映されています。

こうした環境への配慮は、戴冠式で使用される神聖なオイルにも見られます。以前は、ジャコウネコ油(ジャコウネコの腺から抽出されたもの)、またはマッコウクジラの腸から抽出されたアンバーグリスといった動物由来のものが一般的でした。しかし、今回はオリーブオイルをベースに、ゴマ、ローズ、ジャスミン、シナモン、ネロリ、ベンゾイン、オレンジブロッサムといった植物由来のものになっています。

1953年のエリザベス2世女王の戴冠式から70年、今回の戴冠式の所要時間は先に比べると時間は短く、規模は小さくなります。ロイヤルパレードも控えめになるとか。一方、宗教的な意味合いは強くなるようです。

そうはいっても、ロイヤルファミリーに加え、首相、国会議事堂の代表者、国家元首、および世界中の他の王室が出席する戴冠式。パレードでは、チャールズ3世とカミラ妃が乗る馬車は、1830年代以降のすべての戴冠式で使用されているゴールド・ステート・コーチ。さらに2014年に初めて使用されたダイヤモンド・ジュビリー・ステート・コーチも登場するということです。

バッキンガム宮殿は、5月7日(日)ケイティー・ペリー、テイク・ザット、ライオネル・リッチーなどが出演するウィンザー城でのコンサートを含め、さまざまなイベントを発表。式の前日の金曜日と当日の土曜日は、イングランドとウェールズのパブ、クラブ、バーは、2時間延長して営業することが許可されているなど、イギリスはお祝いムード一色になることでしょう。

時期的にはちょうどGWにあたる日本、イギリス滞在の予定があったらよかったのに……、ちょっと残念な気持ちです。

トップ画像出典:bbc.com thejewelleryeditor.com

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