ピアジェから急流や氷の湖など、自然の美しさと複雑さを比喩(メタファー)的に捉えたハイジュエリー誕生
Text=Machida Akemi
時計制作で培った確かな技術で作られた、エレガンスと遊び心ある「Metaphoria(メタフォリア)」コレクション、52点を発表。
店頭に並ぶジュエリーとは一線を画す高額なハイジュエリー。ここ数年、ブランドの独自性を打ち出したものが人気で、単にサイズの大きい希少な宝石を留めただけのジュエリーでは顧客は満足しなくなってきているようです。
そんな目の肥えた顧客の要望に応えるかのように、常に新しいものを作り続けているピアジェから、新作ハイジュエリー「Metaphoria(メタフォリア)」が誕生しました。自然をそのまま描くのではなく、海、山、森から感じられるエネルギーを比喩(メタファー)的に捉えたハイジュエリーです。
水のフォルムにインスピレーションを受けた「Azureia(アズレイア)」と緑の森から着想を得た「Beautanica(ボタニカ)」の2つのチャプターから成る41点のジュエリーと、11点のウォッチで自然の不朽の美しさを表現しています。
独創的なデザイン、世界の鉱山から調達される宝石、高度な職人の技術と、ブランドの仕事力が最も顕著に表れるのがハイジュエリーです。すべてのクリエイションは、ジュネーブの自社アトリエで作られていますが、ハイジュエリー部門だけでも7種のメティエ(専門技術職)が制作に携わっています。
ピアジェのアートディレクター、ステファニー・シブリエールは「流れ落ちる滝の水や太陽の光など、自然の息吹を想起するようなディテールにフォーカスし、そうした自然を目にした時の感情も同時に呼び覚ますようなクリエイションを目指しました」と語っています。
山河の急流をそのまま閉じ込めたようなネックレスには、ダイヤモンド、サファイア、アクアマリンがアシンメトリーにセットされ、センターには瑞々しく透き通った13.25カラットのクッションカット、アクアマリンが輝いています。セットのイヤリングとリングには、4.1カラットの深いブルーを宿したスリランカ産のサファイアが使われています。
ハイジュエリーに、時計制作で培われた技術が受け継がれている
時計制作で培ってきた確かな技術が継承されているピアジェ。その歴史は1874年、スイスとフランスの国境に近いラ・コート・オ・フェという小さな村で、時計のムーブメントを制作することから始まりました。農場の中に初めて工房を作ったジョルジュ=エドワール・ピアジェは当時わずか19歳。彼とその家族は薄型ムーブメントの開発で成功を収め、さらに時計制作で培ったダイヤモンドのセッティングや金属加工の技術を活かして、ジュエリーの世界へと進出します。 リングの中央がくるくると回る「ポセション」は、1990年に誕生以来ヒットし続けています。回転する部分にはいつも触れていたくなり、楽しくてやめられないほど。マラカイトやターコイズ、カーネリアンなど色鮮やかなリングやバングルなども登場し、バリエーションが広がっています。回転させるユニークなアイデアは、ジュエリーとウォッチの両方を手掛けるメゾンだからこそ、形にできたと言えます。
息を吞むようなクラフツマンシップと、選び抜かれた素材を使って作られたハイジュエリー。革新的なデザインで目を引くのは、ゴールド、マザーオブパール、ダイヤモンドで樹木の葉を表現した「ALATA (アラタ)」のハイジュエリーセット。ゴージャスに耳全体を飾るゴールドとチタンのイヤカフが華やかです。
ゴールドの葉の部分には、「Decor Palace」(パレス装飾)が施されていますが、これはゴールドの表面に手作業で彫りを刻む装飾で、1960年代頃から始められたピアジェのシグネチャー的な技巧です。ピアジェの中でも限られた金細工職人だけしか生み出せない技だといいます。スタイルの仕上げとなるウォッチには、木の葉が風に舞うようにマーキスカットのダイヤモンドがセットされ、ピアジェの精緻さを極めた芸術品に仕上がっています。
TOP画像:ハイジュエリー「Metaphoria(メタフォリア)」の「ALATA」のセット。イエローゴールド・ホワイトゴールド・マザーオブパール・ダイヤモンド。PIAGET