SDGs

第1回ジュエリーサミット、ハーバード大学で開催。リーダー格は全員女性

Written by Brand Jewelry

2023年6月23日、アメリカのハーバード大学で史上初の最先端ジュエリーサミット「ステート・オブ・ザ・アート・ジュエリー・サミット」が開催されました。

1日限りのこのイベントは、イギリスを拠点に持続可能へのシフトを目的としたRJC(責任あるジュエリー協議会)、GIA(米国宝石学会)、MGMH(ハーバード鉱物学博物館)とのコラボレーションで実現しました。ハーバード大学のキャンパス内にあるMGMHは、世界水準の鉱物、岩石、隕石、宝飾品のコレクションを保存し、研究、教育、一般展示などに利用されています。

サミットというと年配の男性たちがずらりと並んだイメージが強いですが、主催したリーダーは全員女性。メラニー・グラント氏(RJC)、スーザン・ジャックス氏(GIA)、ラケル・アロンソ・ペレス博士(MGMH) は、この方面の専門的なキャリアを積んだ女性たちです。

右上:メラニー・グラント氏(RJC) 中 :  スーザン・ジャックス氏(GIA) 右: ラケル・アロンソ・ペレス博士(MGMH)  下 : ハーバード大学

サミットには宝石や宝飾品業界のあらゆる分野のリーダーが世界中から招待され、ビジネス、テクノロジー、政治学、鉱業、研究、教育、芸術に関する専門家によるパネル・ディスカッションやミニ講演が開催されました。

このイベントは業界全体の将来を据えたもので、業界が今後も繁栄し継続することが目的。オープニングの議題では、直面している最大の問題であるCO2排出量が取り上げられました。

豊富な採掘事業があるアフリカはCO2排出量も多いのでは?と思われがちですが、ハーバード大学の環境科学の研究者によると実際にアフリカ大陸が占める割合は4%未満なのだとか。それよりもアフリカの零細鉱山労働者やコミュニティが気候変動によって被害に遭遇すること多く、そのほうが深刻な問題となっています。一方、ダイヤモンド事業が経済効果をもたらした成功例として、ボツワナの採掘が紹介されました。

「金の採掘が二酸化炭素排出にどのような影響を与えるか、科学者から直接話を聞くことができて非常によかったです」と語るのはパネリストの1人、ジュエリーデザイナーで活動家のピッパ・スモール氏。

他にもパネリストとして参加したジュエリーアーティスト、ウォレス・チャン氏は「教育は最も重要な課題です。鉱山労働者からサプライヤー、宝飾品メーカー、アーティスト、コレクターに至るまで、誰もがこのテーマに関する知識を持ち、会話に参加してほしい」と述べています。

サミットの最後を締めくくったのは、宝石業界の次世代の若者たちで構成された組織、ヤング・ディアマンテール(Young Diamantaires )のメンバーと業界の重鎮たちとのパネル・ディスカッション。若者の視点から業界の将来についての討論が行われました。

イベントでは、RJC が ESGツールキットを発表し、すべての参加者に無料で提供されました。ESGは、「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(管理)」が、世界中の宝飾品ビジネスに適用するための青写真となることを意図して作られています。

環境:二酸化炭素の排出削減や再生可能エネルギーの利用。
社会:充実した仕事とプライベートの両立や働く人の尊重や多様性の促進。
管理:適切な情報開示やコンプライアンス(法令遵守)の徹底。

SDGsが持続可能な社会を目指すための国際目標であるのに対し、ESGは主に企業の持続可能性を評価し、必要な3つの観点を掲げたものです。このサミットから、宝飾業界でもSDGsがさらに拡大してほしいと思います。

画像出典元 : stateoftheartjewelrysummit.com

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