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ジュエリーはミュージアムで(ブリティシュ ミュージアム)


世界最大級の博物館が収蔵する貴重なジュエリー

 ロンドン、ブルームズベリーにある大英博物館は、言わずと知れた世界最大級の博物館。その歴史は、古美術収集家で医学者だったハンス・スローン卿が古美術、メダル、コイン、本、標本などの膨大なコレクションを国に遺贈したことに始まります。イギリス議会は、このコレクションに、すでに国が持っていたロバート・コットン卿一族の蔵書、初代・第2代オックスフォード卿収集の手稿本を加えて収容する施設として博物館設立を決定。1753年に創設され、1759年に一般向けに開館。以来、世界中から集めた膨大なコレクションが、無料で公開されています。
収蔵品の増加にともなって、1824年から増改築がスタート。東側に蔵書のための新ギャラリー、西側にエジプト彫刻展示のための新ギャラリーが造られました。旧館は取り壊され、1852年に現在の正面玄関部が完成しています。
大英博物館の収蔵品の数は現在約700万点。そのうち約15万点が常設展示され、とても1日では見て回れません。美術品、書籍、遺物、工芸品などジャンルは多岐に渡り、ロゼッタ・ストーン、パルテノン神殿の彫刻、アッシリアの浮き彫りなど、歴史的に名高い収蔵品が数多くあります。そして、あまり知られてはいませんが、宝飾品も多数収蔵されているのです。特に、英国王室の人々が身につけた王冠やティアラ、ネックレス、ブローチなどを集めた「ザ・ロイヤル・コレクション」の豪華さは一見の価値があります。古いものから、比較的新しいものまで時代を追って見られるのも、ジュエリー好きにとっては興味深いところです。
1851年に開かれたロンドン万国博覧会の収益や展示品をもとに産業博物館として始まった同館は、イギリスのデザイナーや製作者を啓蒙し、工芸品や工業デザインの質を高める教育機関としての側面も持っていました。1857年に現地へ移転しサウス・ケンジントン博物館と呼ばれていましたが、ヴィクトリア女王の命で新棟が建てられた際、女王の夫アルバート公を記念して現在の名称に。
「デザイン」を主要テーマに掲げるここでは、家具や衣裳類、ジュエリー、織物、陶磁器、ガラスや金属の細工など、実用と美しさを兼ね備えた、生活の中の優れたデザインが数多く見られます。現代のデザイン以外に、彫刻や絵画といったファインアート、古代の出土品やルネサンス期の芸術品なども充実。彫刻、絵画、ステンドグラスなどを集めた「中世&ルネサンス」ギャラリー、古代アジアから現代ヨーロッパまでの陶磁器を網羅した新設の「陶磁器」ギャラリーなども人気です。
世界中から集めた収蔵品は約300万点。その多くがサウス・ケンジントンの本館や、ロンドンのイーストエンドにある「こども博物館」で展示されています。

長い繁栄を誇った大英帝国だけに、ロイヤル・ジュエリーも圧巻の豪華さ。また、王室御用達のジュエラー、ガラードが手がけたものが目立つ。上左「ザ・ウィリアムソン・ブローチ」カルティエ社製、1953年。上中 プロイセンのフレデリック大王プロイセンのフレデリック大王に贈られた、かぎ煙草入れ。上右 戴冠式用に作られたダイヤモンドのネックレスとイヤリング。R&Sガラード社製、1858年。下左 ヴィクトリア女王の「スモール・ダイヤモンド・クラウン」R&Sガラード社製、1870年。下中 ヴィクトリア女王のフリンジのブローチ。R&S ガラード社製、1856年。下右 ティアラ「ザ・ガールズ・オブ・グレートブリテン」R&Sガラード社製、1893年。
すべてThe Royal Collection©2011,Her Majesty Queen Elizabeth Ⅱ

時代を超えて輝く英国王室のジュエリー

 ここでご紹介するのは、大英博物館収蔵の「ザ・ロイヤル・コレクション」のジュエリー。王や女王が即位する戴冠式で欠かせないクラウン、式典では王族の女性たちがつけるティアラなど、王室はジュエリーと切っても切れない仲にあります。普遍的な美しさを持つロイヤル・ジュエリーは代々受け継がれることが多く、今年4月にウィリアム王子と結婚したキャサリン妃も、エリザベス女王からカルティエ製のティアラを譲り受けています。
1919年にジョゼフ・ショーメが、ドウドービル公爵夫人に注文を受けたブルボン・パルムのティアラも、ミュージアムの貴重な所蔵品です。このティアラは、ショーメの新しい広告ヴィジュアルに使用され、トップモデルのステラ・テナントの髪を飾りました。また、「シャルルマーニュの王冠」の名が彫り込まれた、ナポレオン皇帝の戴冠式に使用された王冠のデザイン画も、言うまでもなく、貴重な所蔵品です。レディ・マウントバッテン、ロシアのウラディミール大公妃、プリンセス・ユスポフ等、ショーメの有力顧客だった女性達の写真も多く展示されていますが、彼女達のエレガントな姿には目を奪われます。テーブルの上にある顧客名簿には、19世紀に日々受けた注文が記されていて、興味をそそられます。さらに、アーカイブには、36,000枚の写真、80,000枚の原版、34,000枚のガラス版等が所蔵されています。

TOP画像 : 博物館の正面玄関。新古典様式のファサード。

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