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コンクパール、自然が生んだ希少なピンク 


食用の貝の中から偶然発見されて以来、その繊細な美しさで多くの女性を虜にしたコンクパール。「カリブ海の至宝」といわれるコンクパールの魅力をご紹介します。

カリブ海に生息するコンク貝から採取

絹のようなつややかな光沢と優しいピンク色が美しいコンクパールは、その名からもわかるように真珠の一種です。しかしパールというものの、輝きや質感は独特で、一見パールとは思えない不思議な雰囲気を持っています。マットなピンク色をしていることから、珊瑚の一種にも見えることも。世界的に採取される数が非常に少なく、大きなサイズは幻ともいわれています。

コンクパールは、コンク貝という大きな巻き貝から採れます。この貝はフロリダの沖からヴェネズエラまでカリブ海一帯に生息。色はピンク色だけでなく、白やクリーム色から、茶色、褐色、黒色、黄色とバリエーションが豊富です。中でも「火炎模様」と呼ばれる炎が揺らめくような模様が特徴。この模様がはっきり見られるものが、最上と評価されています。

通常、真珠は真珠層といわれる非常に薄い膜が何層にも重なることで真珠独特のテリや光沢が生まれます。しかしコンクパールには、真珠層がありません。貝殻と同じ稜柱層という構造で構成されています。そのため比重が重く、とても固いのです。

コンク貝が西欧で知られるようになったのは1800年頃から。貝を彫って絵柄を描くカメオが流行していたため、その素材として大変重宝されていたようです。ピンクと白の美しいコントラストは、カメオにぴったりだったのでしょう。アンティークジュエリーに当時の姿を見ることができます。ヴィクトリア時代にはカメオ、そしてアール・ヌーヴォーの時代には七宝と組み合わせた宝飾品が人々を魅了しました。また、貝を砕いた粉を陶磁器の原料に混ぜて焼いたともいわれています。

養殖ができない希少な天然真珠

今では美しい宝石のひとつとして愛されていますが、そもそもコンク貝は貴重な食料です。カリブ海に住む原住民は、ずっと昔から食用として採取していました。パールはあくまでも貝についてくる副産物。パールを目的に採取することはありませんでした。おそらく加熱したり、食べる部分を取った後は捨てられていたのでしょう。その後20世紀に入り海外に輸出されるようになると、乱獲が進み、数は激減したといわれています。

数が少なければ他の真珠と同じように養殖することも考えられますが、コンクパールは人工的に核を入れることが非常に難しく、現在でも養殖技術は確立されていません。私たちが見るコンクパールは、すべて天然の真珠のみ。それもすべてのコンク貝にパールが入っているわけではありません。多数採取しても、パールが採れる確率はごくごくわずか。現在でも食用として採取されることが多く、宝石として市場に出回ることが非常に少ないというのも納得です。

美しさと希少性を兼ね備えたコンクパールは、まさに自然からの贈り物。やわらかなピンクは、女性の美を象徴するかのようです。着ける人の魅力を引き出し、品格を高めてくれます。おとなの女性ならば、ひとつは持っておきたいワンランク上の宝石といえるでしょう。

コンク貝を母貝とするコンクパール。均整の取れた形のパールは貴重。

Pt・コンク真珠・ダイヤモンド。リング上から、大粒のコンクパールが印象的。気品あふれるピンクが手元に映える。 アームにもダイヤモンドがセットされた華やかなリング。

出典:『ブランドジュエリー』

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