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ジュエリーと、ジュエリーにまつわるさまざまなエピソード

NO.300 タイタニック、遺品のジュエリーが綴るバイオリニストのラブストーリー

タイタニックの遺品には、乗員乗客の数だけ物語があります。タイタニックにまつわるジュエリーを紹介します。

1912年4月14日、当時の最新のテクノロジーを搭載し「不沈船」と呼ばれながら、海底に沈んだ豪華客船タイタニック号。セリーヌ・ディオンの曲をバックに、レオナルド・ディカプリオ主演のあの映画を思い出す方もいるでしょう。

何度か遺品のオークションも開催されてきましたが、2024年4月29日新たにオークションのニュースが飛び込んできました。

4月27日、イギリスに拠点を置くオークション会社オールドリッジ・アンド・サン主催により、数あるロットの中で注目されたのが、乗客のジョン・ジェイコブ・アスター4世が身に着けていた金時計です。タイタニック号関連の品としては過去最高額の117万5000ポンド(約2億3000万円)で落札されました。

アスター4世は財閥のアスター家の一族で、タイタニック号の乗客の中で最も裕福な人物として知られています。

愛を繋いだバイオリンとペンダント

もう1つ話題となったのが、タイタニック号の楽団のリーダーでバイオリニスト、ウォレス・ハートレーさんのバイオリンケースで落札価格は29万ポンド(約5700万円)。バイオリン本体はすでに2013年、同じオークション会社を通じて90万ポンド(約1億3700万円)で落札されています。

ウォレス・ハートレーさんは船が沈没していく中で、パニックになった乗客を落ち着かせようと船のデッキに残り最後まで演奏を続けた楽団のメンバーの1人として知られています。2021年には彼の写真の入った金属製のロケットペンダントもオークションにかけられ、2万2000ポンド(約330万円)で落札されています。

そのペンダントのエピソードは、まさに悲劇のラブストーリー。33歳の彼は、タイタニックに乗船する前に婚約者のマリア・ロビンソンさんに彼の写真が入ったこのロケットを贈りました。ロケットの表面には、彼女のイニシャルが刻まれています。

一方、バイオリンは、彼女からウォレスへの贈り物。その証拠にバイオリン本体に「婚約のお祝いに マリアからウォレスへ」と刻まれたプレートが付いていました。

彼の死にショックを受けたマリアさんは、その後母親と妹とイギリスでひっそりと暮らし1939年に亡くなります。彼女は、亡くなるまでロケットを片時も放さなかったそう。死後は彼女の姪に託され、その姪が2020年103歳で亡くなったことで、オークションに登場しました。

乗員乗客の数だけさまざまなストーリーに彩られているタイタニック。今も多くの人たちの関心を集めています。

トップ画像出典:www.henryaldridge.com

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