NO.320 パリ2024オリンピック メダル、エッフェル塔とショーメの見事なマリーアージュ
パリオリンピックに見るフランスの斬新なアイデア、フレンチブランドの独創性。ショーアップされた
現地時間2024年7月26日19時半（日本は翌朝2時半）に開幕したパリオリンピック。今回の開会式は、選手たちがオリンピック会場外のセーヌ川で船に乗って登場するという今までにはないスタイルが新鮮でした。入場行進の合間、合間に行われたトップアーティストたちによるストーリー性のあるパフォーマンス、ディオール担当のゴージャスな衣装にも目を奪われました。
開会式のパフォーマンスの中で、ジュエリーに関連する気になるシーンが2つありました。その1つ、オリンピックのメダルについて紹介しましょう。パリオリンピックのメダルは、ブログNo.227で取り上げた通り、ショーメが担当しました。
ショーメ、ディオール、ルイ・ヴィトンと、フレンチメゾンが協賛
中継と映像とが組み合わさったパフォーマンスは、開会式がスタートして39分頃、ルイ・ヴィトンの工房で働く職人たちの姿、大型トランク、そしてその後フランス造幣局へと移動していきます。造幣局内ではメダルが鋳造され、そのメダルがヴィトンのトランクの中に収められオリンピック会場へ運ばれるという展開になっていました。
メダルデザインに関して、ショーメは自社とパリの伝統の両方から着想を得ています。たとえば、メダルの中央の六角形。フランスの国の形にちなんで「ヘキサゴン（六角形）」という愛称で呼ばれていることに由来しています。また、ショーメのジュエリー「ビー マイ ラブ」コレクションのセンターに六角形の蜂の巣モチーフが繰り返されていることも無関係とはいえません。
六角形の素材は鉄片。それも、エッフェル塔から出た鉄の廃材です。オリンピックに備えて2023年に始まったエッフェル塔の大規模な改修工事で出たものです。このアイデアはパリオリンピックのデザインディレクター、ジョアキム・ロンサン氏の「メダルにエッフェル塔の一部を盛り込むというのはどうでしょうか？」という一言から始まったのだそう。
六角形のモチーフは、宝石をジュエリーに留める一般的な方法、爪留めが採用されています。六角形の周囲を縁取る光線状の模様は、ショーメの代表的なモチーフ。メゾンのアーカイブにある1920年代のティアラや、1970年代のブレスレットからインスパイアされたものだということです。光に反射して輝くよう設計されたファセット加工は、「光の都パリ」のイメージそのものです。
オリンピックとパラリンピックのメダルは、前面は同じデザインですが、裏面には開催都市パリと大会発祥の地ギリシャを結びつける異なるデザインが施されています。オリンピックのメダルには、ギリシャの勝利の女神ニケの像とエッフェル塔が、パラリンピックのメダルにはエッフェル塔のふもとから見上げた景色が描かれ、世界共通の点字で「パリ2024」と刻まれています。
ショーメがプレゼンテーションで展示したアーカイブ台帳に、エッフェル塔を設計した技師ギュスターヴ・エッフェルが、エッフェル塔が完成した直後の1890年、娘のためにネックレスを購入した記述がありました。ショーメの顧客だったことが判明したのです。
130年以上の時を経て、ショーメが今回のメダル制作に携わったのは必然だったのかもしれません。7月28日（日）現在、日本は柔道女子48kg級で金、男子60kg級で銅メダル獲得。早くもメダルのつけた日本人選手の姿を見ることができました。
ところで、ジュエリーに関する気になるシーン、2つ目は何かって？それは、次のブログで紹介します。
トップ画像出典：olympics.com
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