2度の盗難に遭いながら戻ってきたピンクのダイヤモンド「オルテンシア 」
美しさゆえに略奪や盗難といった憂き目に遭い、2度盗まれながら無事戻ってきたという強運の宝石「オルテンシア」のストーリーを紐解きます。
Written by Brand Jewelry
息を呑むほど壮麗な宝石の中には、昔から人々に愛でられ、数々のエピソードに彩られてきたものがあります。その中から、「オルテンシア」というダイヤモンドを取り上げます。美しさゆえに略奪や盗難といった憂き目に遭い、2度盗まれながら無事戻ってきたという強運の宝石です。
1度目は1792年、フランス革命の混乱の最中にドゥペイロンという男の手によって国有宝物庫から持ち出されてしまいます。その1年後、彼は身柄を拘束され、首を落とされるという時に、パリのレ・アール地区の屋根裏部屋にダイヤモンドを隠したことを白状。他の王冠の宝石とともに袋に入った状態で発見されます。その中には呪いで有名な「ホープダイヤモンド」も含まれていました。
2度目は1830年。今度は海軍省から盗まれたのですが、速やかに取り戻すことができました。
歴代の権力者の身を飾ったダイヤモンド
オルタンシアはインドのゴルコンダで産出し、重量は20.50カラット、淡いピンクカラー、五角形にカットされています。先端からガードルにかけてフェザーと呼ばれる目に見える細かい亀裂が走っているのが特徴です。
1643年、フランス国王ルイ14世が購入し、1715年まで彼の管理下にありました。1691年のフランス王冠宝石目録によると、このダイヤモンドが初めて登場したのはボタンホールの花飾りだったとか。20カラットの花飾りなんて、なんと贅沢なことでしょう!
フランス革命後、オルタンシアはナポレオンの肩章に付けられていました。1856年頃には宮廷宝石商クリストフ・フレデリック・バプストによって、ナポレオン3世の妻、ウジェニー皇后のヘッドバンドにセットされます。
オルタンシアの名前の言われ
このダイヤモンドの名前は、オルタンス・ド・ボアルネという人物の名前から来ています。宝石に人の名前が付けられるのは、その人物がその宝石と何らかの直接的なつながりがあったからと考えるのが普通です。しかし名前の由来となったオルタンスという人物は、このダイヤモンドを所有したことも身に着けたこともなく、その所有者の配偶者でもありませんでした。
オルタンス・ド・ボアルネの母はジョセフィーヌ。のちにナポレオン1世の妻になる女性です。オルタンスはナポレオンの実子ではなく、ジョセフィーヌが最初の結婚の際に産んだ連れ子でした。のちにオルタンスはナポレオンの弟と結婚し、ナポレオン3世となる息子を生んでいます。
ナポレオン1世、ナポレオン3世の妻のウージェニーが、オルテンシアを着用したという記述はありますが、肝心のオルタンスは身に着けたことも所有したこともありません。ではどうして彼女の名前が付けられたのか、今もってその答えは出ていないということです。
オルタンシアは現在フランスのルーブル美術館、アポロンギャラリーに展示されています。オレンジがかった美しいピンク色のダイヤモンドは、名前の由来の謎を残したまま輝き続けています。
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