
ブシュロン 2025年 ハイジュエリーコレクション “IMPERMANENCE” を発表
Text=Machida Akemi
クリエイティブディレクターのクレール・ショワンヌの自由な発想と、ブシュロン・パリ工房の職人の技術力により完成した身にまとうアートピース。ハイジュエリー22点の合計制作時間は、18,000時間以上。365日、1日8時間働いても6年以上かかったことになります。
高度な技術を持った職人が、莫大な時間をかけ1点1点手作業で作るハイジュエリー。ブシュロンから、新作ハイジュエリーコレクション 「IMPERMANENCE(インパーマネンス)」が発表されました。
IMPERMANENCEは無常という意味で、移ろいゆく一瞬の美しさ、儚さがテーマ。植物と昆虫をハイジュエリーとして表現した6つのコンポジションは、自然がいかに儚く尊い存在であるかを全22点のハイジュエリーピースで伝えます。

ナナフシ(ブローチ)
新作の着想源となったのは、日本の文化である華道と侘び寂びの思想です。力強さ、左右非対称のバランス、余白の美しさなどが表現される日本の伝統芸術である生け花と、質素なものに趣を感じる侘び寂びからインスピレーションを膨らませています。
「光」を軸に、流転する生命の一瞬をハイジュエリーで
クリエイティブディレクターのクレール・ショワンヌは、「自然の美しさが色褪せる前に、その一瞬を捉え、ハイジュエリー作品に閉じ込めたいと考えました」と語っています。

藤(ブローチ・ヘアジュエリーのマルチウェア作品)
クワガタムシ(ブローチ)
最高峰の職人たちが集まるブシュロン
ブシュロンは、パリのヴァンドーム広場に初めてハイジュエラーとしてブティックをオープンしたことで有名です。創業者のフレデリック・ブシュロンは、織物商の息子として生まれますが、家業を継がずジュエラーの道へ。他のジュエラーたちが宝石を中心にデザインする中、身につける人や着用方法にこだわったといいます。
1879年には、さっと首にかけるだけで着用できるクラスプのないネックレス「クエスチョンマーク ネックレス」を生み出し、これは今もブシュロンのシグネチャーの1つとなっています。
そんな自由な精神と革新的なスタイルが新作のハイジュエリーにも受け継がれています。注目は、コンポジションNo.4 の作品。ブラックラッカーで強調されたシクラメンの花びらに、約700石ものローズカットのダイヤモンドをセッティングし、まるでダイヤモンドのステンドグラスのような美しさを生み出しています。
制作時間は4,279時間。ブラックコーティングされたチタンで表現されたオーツムギの穂先には、ダイヤモンドが繊細にあしらわれ、2匹の昆虫、毛虫と蝶も息づいています。
ハイジュエリーの限界を超える挑戦
毛虫はホワイトゴールドとブラックスピネル、蝶はホワイトゴールドにブラックラッカー、ダイヤモンドがスノーセッティングされています。スノーセッティングとは、大きさの違う真っ白なダイヤモンドを全く地金が見えないように隙間なくセットする手法です。主に同じサイズのダイヤモンドを使用するパヴェセッティングよりも立体感が強調されます。
繊細な毛虫の毛のディテールは、クリエイティブ・スタジオで用いられる絵筆の繊維から着想を得たといいます。収縮可能な構造で柔軟な動きも表現できるよう工夫されており、実際に地を這っているかのように姿勢を変幻自在に変えることができます。
シクラメンには回転構造が組み込まれ、ブレスレットまたはブローチとして着用可能。オーツムギはヘアジュエリーとして、毛虫はブローチとして、翅を広げた蝶はヘッドジュエリーとして着用できます。
トップ画像:ブシュロン「IMPERMANENCE」
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