イッタラ、アルテック、マリメッコなど、デザイン大国フィンランドの背景を探る「ザ・フィンランドデザイン展 − 自然が宿るライフスタイル」開催。
Written by MACHIDA Akemi
国土の73%が森林で覆われ、湖が約18万8000個もある「森と湖の国」として知られるフィンランド。豊かな自然の恩恵を受けてきた、フィンランドの人々のライフスタイルとデザインの数々を紹介。
フィンランドと言えば、何を思い浮かべますか? オーロラ、サウナ、ムーミン、シナモンロール。北欧フィンランドのインテリアが好きという人も多いでしょう。そんな方におすすめの展覧会「ザ・フィンランドデザイン展ー自然が宿るライフスタイル」が、東京Bunkamuraザ・ミュージアムで2021年12月7日~2022年1月30日まで開催されます。
同展では、ヘルシンキ市立美術館(HAM)監修のもと、マリメッコやフィンレイソンのテキスタイル、カイ・フランクのガラス工芸の他、陶磁器や家具など同時代にデザイン・制作されたプロダクトとともに、同時代の絵画なども含め、約250点の作品と約80点の関係資料が展示されます。
国土の73%が森林で覆われ、約18万8000個もの湖がある、「森と湖の国」と呼ばれるフィンランドのプロダクトの数々は、「大いなる自然を忘れない」という思想に裏付けられています。そんな大地からの恩恵を生活に取り入れてきたフィンランドの人々のライフスタイルと、美しいデザインの数々を紹介する展覧会です。
世界の幸福度ランキングで4年連続で1位となったフィンランド。社会福祉が充実していて教育費が無料、また2019年に34歳の女性首相が誕生したことでも知られるように、女性の社会進出が進んでいます。そんな日本人が憧れる要素がたくさんあるフィンランドは、イッタラ、アルテック、マリメッコ、フィンレイソン、ムーミンなど人気のプロダクトを生み出してきたデザイン大国でもあります。実用性と機能美を兼ね備え、世界中から愛されるデザインを創り出してきたフィンランド、その国の背景を探っていきます。
デザイナーたちが作るフォルムには自然が宿り、暮らしを良くすることが第一に考えられています。マリメッコは日本でもファンが多く、鮮やかな「ウニッコ」の花柄が有名ですが、このブランドは1951年に女性経営者アルミ・ラティアにより創設されました。
戦後のフィンランドでは、女性は家庭にという昔ながらの役割から解放する動きが起きますが、そういった流れに影響を与えたのがマリメッコのドレスでした。コルセットで締めつけた動きにくいスタイルから、シンプルで女性が自由に動き回れる服が考案され、ジャクリーン・ケネディがマリメッコのドレスを着用したことでも話題となりました。
外出自粛やテレワークなどで自宅にいる時間が長くなったためか、食器や椅子を見直したり、部屋の模様替えをする人が増えたといいます。日照時間が短く、冬は雪が降り大半を家の中で過ごすことが多いフィンランド人は、インテリアを充実させて気持ちをハッピーにします。長いおこもり生活を快適に過ごすために生まれたフィンランドのデザインには、おうち時間を楽しく過ごすためのヒントが隠されているかもしれません。
本展では50人以上のデザイナー、アーティストが勢ぞろい。アルテックのチェアで名高いアルヴァ・アアルト、アラビアのロングセラー《ティーマ》を生んだカイ・フランク、ムーミンの作者トーベ・ヤンソンなど、世界的に知られるアーティストから日本ではあまり知られていないアーティストのものまで数多く出展されるので、お気に入りを見つけてみてはいかがでしょうか。
「ザ・フィンランドデザイン展ー自然が宿るライフスタイル」
東京Bunkamuraザ・ミュージアム
会期 2021年12月7日(火)~2022年1月30日(日)
開館時間 10:00~18:00(入館は17:30まで) 毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで)
会期中のすべての土日祝日、および最終週の1月24日(月)〜30日(日)は
【オンラインによる入場日時予約】が必要となります。
休館日、観覧料など詳しくは展覧会公式サイトにてご確認ください。
https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/21_Finland/
TOP画像:オイヴァ・トイッカ《「ポムポム」花瓶》、セッポ・サヴェス《アンニカ・リマラ「リンヤヴィーッタ」ドレス、ヴオッコ・ヌルメスニエミ「ガッレリア」テキスタイルデザイン》、アルヴァ・アアルト《キャンチレバーチェア31》マイヤ・イソラ《カンムリカイツブリ》1961年、マリメッコ社、フィンランド・デザイン・ミュージアム蔵、Photo/RaunoTräskelin