『パールのあるシーンVOL.5 』小さいながらも優美で可憐なベビーパール
Written by TOSHISHIGE Yukiko
アコヤ貝で養殖される小粒真珠の魅力。重ね着けのコーディネートも。直径2mm〜5mm以下のベビーサイズのネックレスがおすすめ。
真珠は一般的に宝石の素材としてはダイヤモンドなどに比して大きさがありますが、今回は小さいながらも優美で可憐なベビーパールを取り上げます。この愛らしい名前をお聞きになった方も多いと思います。
ベビーパールはアコヤ貝で養殖される小粒のアコヤ真珠のことで、直径約2mmから5mm未満の真珠のことを、このような、いわば愛称で呼ぶことがあります。ペンダント、リング、ブローチでは、この小粒真珠をふんだんにあしらってボリューム感を出したデザインが見られますが、今回はベビーサイズのネックレスをおすすめしたいと思います。
品質は、アコヤ真珠ですからベビーパールの場合も「光沢、”巻き”と言われる真珠層の厚さ、形、キズなど」が見分け方のポイントになります。
ここで、アコヤ真珠を選ぶときの大切な要素をご説明します。
- 一番の要素である光沢は、真珠層の厚さと密接な繋がりがあります。厚さは耐久性の面でも大切ですが、養殖する期間の長さとも関わり、真珠層が均一で厚いものほど深い輝きを放ちます。また、光沢は真珠層が均一であるか、含有される不純物の量も関係します。
- 形は、真円に近いものほどよいものとされます。
- キズは、養殖期間中に自然にできる”えくぼ”ともいわれるものがほとんどです。その度合いが多いか少ないかで評価が決まりますが、もちろん少なく、全体が滑らかな表面である方が良いとされます。
これらの要素は比較してみると良くわかるので、求める際は、必ず複数の商品を見比べてください。もし、複数の選択ができないような場合は、お店自体に疑問を持つほうが無難です。
ところで、よく質問がある「色」は品質とは関わりなく、ピンク系、シルバー系、ブルー系、クリーム系などがありますので好みで選んでください。
さて、ファッションのカジュアル化が進んでいるように思います。ON、OFFタイムのどちらも気軽な装いで過ごすことの是非は別として、小粒のベビーパールならは、真珠の優雅さと同時にカジュアル感もあるので、ONにもOFFにも活躍します。チョーカー(約40cm)はニットやシャツの襟元に楽しめますし、もちろん、ジャケットを着る機会にも似合います。
イヤリング、ピアスなど耳元のジュエリーが人気のこの頃、前回(VOL.4)おすすめした白蝶貝真珠のボリュームあるイヤリング(ピアス)にベビーパールネックレスを合わせるのも新鮮なバランスです。
また、お手持ちのネックレスやペンダントと合わせてつけても重さを感じさせないバランスに仕上がります。
80cmや120cm位のロングネックレスはスイングするような軽やかさがありますが、これからの季節には2連、3連にしてニットの首もとに、あるいは多重のブレスレットにして手首を強調するのも素敵なジュエリーコーディネートです。ベビーのロングネックレスは、全体の仕上がり感を見ながらノット(糸の結び目)を数カ所に入れると安心なので、お店で相談することをおすすめします。
可憐で多様なおしゃれが楽しめるベビーパールですが、こうした小さめの真珠は技術面から養殖を営む人は限られており、昨今では手がける人は貴重な存在です。またアコヤ貝の稚貝が大量にダメージを受ける事態も発生し、現在、原因と対策が模索されています。
ダイヤモンドなどの長い時を経てできた鉱物の結晶と異なり、真珠は貝という生き物が作り出す輝き。海の自然と深く関わっており、昨今の自然の変化に対して貝が元気に生きる環境を備えることの難しさがあります。
そうした中で、小粒ながら異彩の輝きを放つ小粒の真珠「ベビーパール」。ぜひ、この魅力に触れていただきたいと思います。
利重 由紀子 (Toshishige Yukiko)
株式会社ミキモト入社。1989年広報課新設時に広報課長。1994年消費者と企業のパイプ役、日本ヒーブ協議会会長。この経験から業界初のお客様相談窓口設置に関わる。その後、広報宣伝部長、商品開発部長。現在フリーランスとして執筆活動をはじめ、ジュエリーに関わるさまざまな業務に従事している。
Top画像: MAYUYAMA / Brand Jewelry特別編集 Pearl
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