Written by MACHIDA Akemi

天然非加熱のピンクトパーズや、ニュアンスのあるシェリー酒のような色のインペリアルトパーズは、産出量が減っており大変希少。

経済が動き始め、街にも活気が戻ってきました。気持ちいい秋晴れの日は、おしゃれをして出かけたくなりますね。コーディネートに女性らしさをプラスしたいなら、カラーストーンははずせないアイテムです。

最近のカラーストーンの流行りの傾向として、色はディープな濃い色よりも透明感のあるきれいな色が人気です。

11月の誕生石、トパーズは石の奥まで透き通るような透明感が魅力。イエロー、ブラウン、ピンク、オレンジ、ブルーなどさまざまな色味が存在するので、好きな色を見つけて秋冬ファッションを楽しみませんか？

トパーズは古代エジプトやローマ時代から人気のある歴史ある石で、19世紀に入るとフランスやイギリスでイエロートパーズのイヤリングやネックレスがアメシストと並び流行し、1920年代のアールデコ時代の宝飾品にはよくトパーズが使われていました。

トパーズのおもな産地としては、ブラジル、パキスタン、ミャンマー、マダガスカル、スリランカ、ロシアなどが挙げられます。この中で最も有名な産地として2世紀以上、トパーズの採掘が行われているのが、日本のほぼ反対側に位置するブラジルです。現在もバロック様式の教会などが建ち並ぶ街、ミナス・ジェライス州にあるオウロ・プレットという場所では、イエロー、オレンジ、ブルーなど色彩豊かなトパーズが産出されています。中でも最も有名なのが、赤みのあるオレンジ色の、まるでシェリー酒のような色合いのインペリアルトパーズです。

19世紀に最高ランクの宝石と位置付けられたインペリアルトパーズ。そのインペリアルという名前の由来には、当時のブラジルの皇帝にちなんで付けられたという説や、ロシアの皇帝に捧げるために付けられたいう説があります。また、過去にシトリンのことをトパーズ、ゴールデントパーズなどの名前で売り出されたことがあり、その違いを明確にするためインペリアルが付けられたと言われています。

角度によってオレンジにもピンクにも見え、ものによってはイエローも見え隠れする透明感のあるシェリーカラーは、まさにインペリアルという名にふさわしい気品ある輝きを放っていますが、良質な色のインペリアルトパーズは希少で、今後はますます手に入りにくくなると言われています。

パキスタンはピンクトパーズが有名です。パキスタン北西部のカトランというところで、天然非加熱のピンクトパーズが産出されています。1970年代頃から採掘が続いていて、色は鮮やかな紫がかったピンクでシクラメンピンクとも呼ばれ珍重されています。

パキスタンは他にもガーネット、スピネル、トルマリンなどの色鮮やかな宝石が見つかる国として知られていますが、美しいピンク色のトパーズは滅多に見つかることはないので、とても希少です。

トパーズの中でも特に日本人に人気なのは、ブルートパーズ。秋の澄んだ青空をそのままジュエリーの枠に閉じ込めたようなブルーの宝石ですが、色の濃さの違いによって名称が異なることをご存知でしょうか。

薄い水色の空を思わせる色はスカイブルートパーズ、水色が少し濃くて鮮やかなブルーはスイスブルートパーズ、紺色に近い濃いブルーをロンドンブルートパーズと呼んでいます。これは産地とは関係がなく、ブルーの色が、スイスの山々に澄み渡る明るい空の色や、ロンドンのやや深みがかった青空を想起させることからそれぞれ名前が付けられています。

秋冬ファッションは、上下ともダークトーンの洋服が多くなります。マスクもしているので何だか顔周りが寂しく見えてしまいます。そんな時、ブルートパーズなら爽やかに、ピンクトパーズなら大人の可愛らしさを演出してくれます。

皇帝という名を持つインペリアルトパーズも気になります。赤みのあるオレンジ色は、ベージュのゆったりとしたニットにもぴったり。他の宝石にはない、インペリアルトパーズだけに見られるニュアンスのあるカラーを楽しんでみてはいかがでしょうか。

TOP画像：TASAKI／Brand Jewelry 2019WINTER-2020SPRING

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