12月の誕生石、ラピスラズリ。宇宙や銀河を連想させる、最高ランクのアフガニスタン産に代わる産出国は?
Written by MACHIDA Akemi
濃紺のロイヤルブルーに金のパイライトが混入したラピスラズリは、まるで星で埋め尽くされた夜空のよう。産出国のアフガニスタンで情勢が急変し、希少価値が高まっている。
よい運気を取り込みたいという想いから、ジュエリーをお守りのように身につける人が増えています。自分だけのパーソナライズジュエリー、例えばイニシャルや星座モチーフ、誕生石のジュエリーが人気です。
12月の誕生石の1つ、ラピスラズリは世界最古の石とされ、6500年前からすでに人間が使用していたと言われています。ラピスラズリは世界中に広まり、ヨーロッパや中東、インド、中国へと運ばれ、日本にも奈良時代にシルクロードを経由して届けられたアフガニスタン産のラピスラズリの宝物が、現在も正倉院に納められています。
ラピスラズリはアフガニスタン産が最高品質です。濃いロイヤルブルーの中に、金色のパイライトがバランス良く散りばめられていて、それはまるで宇宙や銀河のよう。星の瞬きをギュッとジュエリーに凝縮したかのようで見ていて飽きません。
不思議な引力で強烈に惹かれるのがラピスラズリの青です。白い不純物がないアフガニスタン産のラピスラズリは粉末にされ、青色の絵画の顔料にもなりました。オランダの画家フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」のターバンの青に使われていることでも知られています。ウルトラマリンブルーの色は希少で、金に匹敵するほど高価でした。
ラピスラズリを採掘するのは簡単ではありません。アフガニスタンの北東部に鉱山がありますが、4000メートルほどの険しい高地にあり、冬の厳しい気象条件では鉱山に近寄ることも難しくなります。古代からずっと長い間、採掘が続けられてきましたが、アフガニスタンは政権が崩壊し非常に心配です。今後、供給がどうなるかわかりませんが、アフガニスタン産のきれいなラピスラズリは手に入りにくくなるでしょう。
アフガニスタンに代わって採掘が行われている国は、南米チリです。アルゼンチンの隣、細長いチリの地形の中部に位置するコキンボ州に鉱山があります。コキンボ州はかつて金や銅産業で栄えた街で、この地で採れるワインも有名です。
アンデス山脈の急な斜面にある鉱山でラピスラズリを探すのは大変な仕事です。鉱山の中を進んでいくと、白っぽい大理石の間にラピスラズリの青い層がうっすらと見えてきます。石に水をかけると色や模様がはっきりと浮き出るので、宝石レベルのものかどうか確認できるそうです。チリ産は明るめの色合いですが、白い内包物のカルサイトがやや多めです。
ロシアのバイカル湖畔で採れるラピスラズリは、アフガニスタン産と比べると色は若干暗めのようです。アメリカのコロラド州やカリフォルニア州でも採掘されていますが、良質のものはごくわずか。ロシア産もアメリカ産も最近は市場にあまり出回っていないようです。
数ある宝石の中でも、特に高貴な印象を与えてくれるのがラピスラズリです。ドレスアップして出かける機会も増える時期ですが、吸い込まれそうなほど深い青のラピスラズリは、ファッションの主役になってくれます。瑠璃色の輝きを目立たせるために、洋服は極力シンプルに。月や星モチーフのジュエリーを重ねるのもおしゃれです。古代から幸せを呼び込む力が強いとされてきたラピスラズリは、お守りのように身につけたいですね。
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