「光」をテーマに、ポーラ美術館開館20周年記念展「モネからリヒターへ━新収蔵作品を中心に」開催中(4/9~9/6)
Written by Machida Akemi
モネ、ルノワール、マティス、ゲルハルト・リヒターなど「光」にまつわる新旧コレクションを一堂に公開するポーラ美術館史上最大規模の企画展。館内だけでなく「森の遊歩道」での作品鑑賞や散策も楽しめる。
長引くコロナ禍で疲れ気味……、そんな時は緑豊かな森の中にある美術館でアート鑑賞はいかがでしょう。箱根のポーラ美術館では、ポーラ美術館開館20周年記念展「モネからリヒターへ━新収蔵作品を中心に」を2022年4月9日(土)~9月6日(火)まで開催しています。
ポーラ美術館のコレクションは、ポーラ創業家2代目の鈴木常司が戦後約40年かけて収集してきた印象派や日本の絵画、現代アートなど多岐にわたり、その総数は約1万点にも及びます。都会の喧騒から離れ、緑いっぱいの自然と調和した環境の中で数々のアート作品を堪能できます。
本展では「光」を主要なテーマに、旧来のコレクションに加え近代と現代をつなぐ新収蔵作品を一挙公開します。多くの作品を観てもらいたいという思いから、館内の5つの展示室とアトリウム ギャラリー、ロビー空間、森の遊歩道を会場とし、ポーラ美術館開館以来、最大規模の企画展です。
展示は2部で構成されています。第1部は鈴木常司のコレクションとこれをさらに拡充する新収蔵作品をテーマや時代、作家ごとに紹介。ルノワール、レジェなどの女性像、モネなどの水辺の風景、セザンヌなどの静物、マティスとフォーヴィスムなどテーマ別に展示しています。
注目の新所蔵作品はフランスの印象派の女性画家で、マネの絵画モデルとしても知られるベルト・モリゾの作品です。陽光溢れる邸宅のサンルームで、花を手にした一人娘の姿を、白を多用した明るい色彩と素早い筆致で描いています。
昭和初期の激動の時代に生き、36歳の若さで亡くなった画家、松本竣介は都会の風景を好んで描きました。青を基調とした街の空間に、建造物や線路、自転車などが散りばめられた夢幻のような風景は、細部までじっくり観たい作品です。
第2部では従来のコレクションには含まれていない、近代と現代を結ぶ作家たちの作品が展示されています。山口長男や山田正亮らの戦後日本の抽象絵画、ジャン・デュビュッフェや白髪一雄らマティエール(材質感)を探求した画家たちや、ゲルハルト・リヒターら欧米の抽象絵画を観ることができます。
約30億で落札されたゲルハルト・リヒターの作品も初公開。ゲルハルト・リヒターは、現役で活躍するドイツの現代美術界の巨匠の1人で、独自のペインティングで絵画の可能性を追求しています。展示の抽象絵画は、スキージ(板)を使い絵具を幾重にも重ねていますが、その複雑な色彩は観る人にさまざまなイメージを喚起させます。
コロナ禍や国際情勢などで気持ちも沈みがちですが、「光」やエネルギー溢れる作品を観れば希望が湧いてくるでしょう。
主な出品作家
〈第1部 コレクション+新収蔵作品〉
ベルト・モリゾ、クロード・モネ、ピエール・オーギュスト・ルノワール、ロベール・ドローネー、ニコラ・ド・スタール、フェルナン・レジェ、ベン・ニコルソン、アンリ・マティス、レオナール・フジタ(藤田嗣治)、関根正二、松本竣介、里見勝蔵
〈第2部 新収蔵作品〉
ヴィルヘルム・ハマスホイ、ジャン・デュビュッフェ、モーリス・ルイス、ドナルド・ジャッド、ヘレン・フランケンサーラー、パット・ステア、ゲルハルト・リヒター、アニッシュ・カプーア、ケリス・ウィン・エヴァンス、ロニ・ホーン、スーザン・フィリップス、山口長男、山田正亮、難波田龍起、猪熊弦一郎、斎藤義重、白髪一雄、李禹煥 、田中敦子、中西夏之、中林忠良、杉本博司、三島喜美代
ポーラ美術館開館20周年記念展
モネからリヒターへ━新収蔵作品を中心に
会期 2022年4月9日(土)~9月6日(火) 会期中無休(悪天候による臨時休館あり)
会場 ポーラ美術館 展示室1-5、アトリウム ギャラリー、アトリウム ロビー、森の遊歩道
住所 神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山1285
開館時間 9:00~17:00(入館は16:30まで)
入館料 大人 1,800円、大学・高校生 1,300円、中学生以下 無料
詳しくはポーラ美術館公式ホームページ、https://www.polamuseum.or.jpでご確認ください。
お問い合わせ:ポーラ美術館 TEL:0460-84-2111