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呪いは本当?まことしやかに流れる都市伝説に翻弄されたダイヤモンド「ホープダイヤモンド」

9世紀から20世紀まで、青い宝石に魅せられた人々は次々に不穏な死に至った。「呪われている」と囁かれた宝石には本当に魔力があったのか?

Written by MURAMATSU Chihiro

真夏の風物詩というと「怖い話」。

神秘的な輝きを持つジュエリーもまた恐怖心をあおる「呪い」をテーマにしたエピソードがあります。

たとえば、現在はスミソニアン博物館に所蔵されている45.52カラットもの巨大なブルーダイヤモンド「ホープダイヤモンド」。

「ホープ(希望)」というネーミングとは裏腹に、このダイヤモンドは持ち主を破滅させるという言い伝えがあり、現在でもその伝説は必ず話題となります。

このダイヤモンドが発見されたのは9世紀頃のインド・デカン高原、コーラルという町。

農夫によって偶然発見されたもので、当時は112.5カラットもの大きさがあったと言われています。

その後インドのヒンズー教寺院に奉納されていたところ、タヴェルニエというフランス人がそれを盗んで持ち帰り、その際、盗難に気付いた僧侶がこのダイヤモンドに呪いをかけたというものです。

タヴェルニエは、当時“太陽王”と呼ばれたフランス国王ルイ14世に購入を持ち掛けたことから、ホープダイヤモンドの「不運をもたらす石」としての歴史が始まります。

ルイ14世にダイヤモンドを売ったタヴェルニエは、その後財政困難に陥りモスクワで野犬に襲われて死亡、ルイ14世は、このダイヤを69.03カラットあまりのハート型にリカットし愛用していますが、天然痘にかかり死に至るまで3週間も苦しむことになります。

さらに、ルイ14世からダイヤモンドを借りて舞踏会に出た大蔵大臣は翌日処刑されました。

ダイヤモンドを相続したルイ16世やマリー・アントワネットは、フランス革命によって断頭台の露と消え、ブルボン朝は終わりを告げます。

フランス革命のさなか、ダイヤモンドは一時行方不明となりますが、その後オランダの宝石研磨師の元に渡り、リカットされ現在のクッションカットの形状にされたと言われています。その後研磨師は息子にダイヤモンドを盗まれそのショックで死亡、息子は発狂して自殺してしまいます。

次に手に入れたイギリスの宝石商は入手後すぐに落馬で死亡、そしてその次に所有したのが、宝石コレクターでもあったヘンリー・フィリップ・ホープ。この時以来、現在呼ばれている「ホープダイヤモンド」の名称が確立されました。

ホープ氏はこのダイヤを手に入れたときが人生の絶頂期で、それからは数々の不幸に見舞われ、数年後には破産。失意のうちに死亡し、名家だったホープ家は没落してしまいます。

そしてダイヤモンドは1911年、カルティエが入手し、『ワシントンポスト』紙のオーナーであるアメリカの大富豪マクリーン氏が妻のために販売しました。

しかしこのダイヤを入手後、夫妻の10歳の息子が交通事故死、夫婦生活は破綻し、マクリーン夫妻は離婚。夫のマクリーンは精神に異常をきたし、精神病院で狂死。ダイヤは妻であるエヴァリンの手に渡ります。

そして1946年、彼女の娘が睡眠薬を飲み過ぎて死亡。晩年1人になったエヴァリンは、飼っていた犬のグレートデンの首にそのダイヤモンドともう1つ巨大なダイヤモンドをセットしたネックレスをつけて駆け回らせていたと伝えられています。その後エヴァリン自身も肺炎が悪化して死亡し、オークションに出されます。その呪いの伝説からなかなか買い手がつかなかったものの、1949年ニューヨーク宝石商ハリー・ウィンストンが買い取ります。

彼はホープダイヤモンドの呪いを笑い飛ばしていましたが、ダイヤを入手後、交通事故に4回遭ったといいます。

ホープダイヤモンドをスミソニアン博物館に寄贈したときには、なんと普通郵便小包で送りつけたという逸話も!

さまざまな「呪い」のエピソードに彩られているホープダイヤモンドですが、カルティエが売り込みのために中には脚色されたエピソードもあるようです。

たとえば、実際のタヴェルニエは、野犬に襲われたわけではなく84歳で老衰で亡くなったようですし、マリー・アントワネットがこのダイヤを身に着けたという記録はありません。

ただ、美しいダイヤモンドに「呪い」という伝説が加わると、さらに妖しい輝きを放つように思えてきます。

魅惑的なホープダイヤモンドは、現在でも人々の心を惹きつけて離さないようです。一生に一度は現物を見にスミソニアン博物館に足を運びたいものです。

ダイヤモンドの合計0.5ct、トップの直径が約1.3cm。胸元で存在感を放つダイヤモンドネックレスです。¥143,000
オンラインショップはこちら。

TOP画像:ja.wikipedia.org

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