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ジュエリーと、ジュエリーにまつわるさまざまなエピソード

No.172デンマーク王室が所有していたジュエリーが、オークションへ

BJI ブログ No.172

2022年12月1日、デンマーク・コペンハーゲンのオークションハウス、ブルーン・ラスムッセン(Bruun Rasmussen)で開催されたオークション。

出品されたのはデンマーク王室のジュエリーやハンドバッグとあって、開催前からかなり話題となっていました。

特に注目されたのがテューラ王女 (1880-1945) が社交界デビューを果たした1898年の18歳の誕生日に、父であるデンマーク王フレゼリク8世と母ロヴィーサ王妃から贈られた天然サファイアのカボションがセッティングされたティアラ。その後、少なくとも4世代にわたってデンマーク王室で愛用されていました。最後に所有していたのは、現デンマーク女王マルグレーテ2世の従姉にあたるエリザベト王女(1935-2018)です。

2004年のフレデリック皇太子の結婚式や2009年当時のギリシャ大統領パブリアスを迎えた晩餐会などでこのティアラを着用している姿が残っています。

ティアラは、サファイアがついている部分をトルコ石のカボションと交換することが可能で、それを取り巻くようにオールドマイン、ローズ、シングルカットといったオールドカットのダイヤモンドがセッティングされています。またサファイアの間にある花のデザインにはローズカットのダイヤモンドと小さな真珠が施され、愛らしい表情も加味されています。メーカーのマークはありませんが、おそらく19世紀後半にジュエリーメーカーのE. Wolff & Co.によって製造されたと推定されています。ティアラはベルベットの台座の上に置かれています。伝えられるところによるとこの台座は1920年以降に追加されたものです。ベースにはラインストーンが一列に並んでおり、より一層の輝きを放っています。ベースの端にはループがあり、そこにリボンまたはゴムバンドを取り付けて、ティアラを着用者の頭に固定できるようになっています。

ブルーン・ラスムッセンの王室美術品のチーフ・スペシャリストであるマーティン・ハンス・ボルグによると「このティアラは、ユニークで保存状態がすばらしい。またこの種のジュエリーがデンマーク王室から直接オークションに出品されることはめったにありません」と語っています。

落札額は、600,000~800,000 DDK(デンマーククローネ)と予想され、実際は推定額の範囲内、650,000 DKK (約1,280万円) で落札しました。

そしてもう一つ、注目されていたのが、マルグレーテ2世の祖母、アレキサンドリン女王のアールデコ様式のエメラルドとダイヤモンドのブレスレット。アレクサンドリンがデンマークの女王だった1920年代にジュエリー コレクションに加わったと言われています。ブルーン・ラスムッセンのカタログによると「1923年の女王への銀婚式の贈り物か、1929年の彼女の50歳の誕生日の贈り物であった可能性がある」とのこと。9個の六角形の繰り返しデザインのセンターにはコロンビア産と考えられている1~2.21カラットのシュガーローフ(円錐形)カボションのエメラルドが5個、残りのセンターにはオールドカットのダイヤモンドがセッティングされています。こちらは、推定落札額 300,000~400,000 DKKと見積もられていましたが、なんと2倍以上の700,000 DKK (約1,377万円) で落札。

他にも、フレゼリク7世(1808-1863)の母であるシャルロッテ・フリーデリケ王女が所有していたガーネットとK18ゴールドペンダントやルイーズ女王が所有していたロシアの大公ニコラス・アレクサンドロヴィッチの髪の毛の束が入ったメダリオンなどロイヤルジュエリーが多数出品され話題となりました。

ところで、先のサファイアのティアラの最初の持ち主テューラ王女と最後の持ち主のエリザベト王女は、お互い身分違いの恋をしています。テューラの場合は、結ばれることなく2人とも生涯独身を通し、一方のエリザベトは、パートナーが亡くなるまで未婚のまま一緒に暮らすという形で愛を貫きました。時代を超えてティアラを共有した2人の王女の物語、何だかとてもロマンチックですね。


TOP画像出典:www.thecourtjeweller.com/

すっきりしたゴールドカラーのラインに扇型のクジャクの羽。耳元で揺れて、エキゾチックな印象のピアス。クジャクの羽は天然ですので、微妙に色や形が違い、デザイナーが最もきれいな部分を選んでいます。ナチュラルな雰囲気が素敵です。同じデザインでイヤリングもあります。
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