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「愛」の絵画を集めた「ルーヴル美術館展 愛を描く」が、2023年3月1日(水)~6月12日(月)まで、東京・六本木の国立新美術館で開催

Written by Machida Akemi

世界的に有名な名画が集まるパリのルーヴル美術館から、恋人たちの愛、官能の愛、悲劇の愛…など「愛」の絵画74点が一堂に集結! ヴァトー、ブーシェ、フラゴナールなどの名画を通して、さまざまな愛の表現に迫る。


絵画って難しそうと感じても、展覧会のテーマが面白そうだと行ってみたくなりますよね。「愛」についての絵画だけを集めた、「ルーヴル美術館展 愛を描く」が、2023年3月1日(水)~6月12日(月)まで、東京・六本木の国立新美術館で開催されます。

ジャン=オノレ・フラゴナール 《かんぬき》 1777-1778年頃 パリ、ルーヴル美術館
Photo © RMN-Grand Palais (musée du Louvre) / Michel Urtado / distributed by AMF-DNPartcom

ルーヴル美術館はパリ中心部1区のセーヌ川の右岸に位置し、48万点を超える美術品を所蔵。作品を全部見ようと思ったら1週間でも足りないとも言われています。そんなルーヴル美術館の膨大なコレクションの中から厳選された「愛」の名画、74点が一堂に集結します。

展覧会のテーマは愛。愛とはいったい何なのでしょう? 

人間の根源的な感情である愛は、古来から西洋美術の根幹を成すテーマの1つでした。ギリシャ・ローマ神話を題材とする神話画、現実の人間の日常生活を描く風俗画には、特別な誰かに恋焦がれる神々・人々の情熱や欲望、官能的な悦び、あるいは苦悩や悲しみが描かれています。

古代の神々の愛、キリスト教の愛、恋人たちの愛、家族の愛、官能の愛、悲劇の愛…16世紀から19世紀半ばまで、ヨーロッパ各国の主要画家の名画により、多様な愛の表現に迫る展覧会です。

フランソワ・ジェラール 《アモルとプシュケ》、 または《アモルの最初のキスを 受けるプシュケ》 1798年 パリ、ルーヴル美術館
Photo © RMN-Grand Palais (musée du Louvre) / Tony Querrec / distributed by AMF-DNPartcom

ヨーロッパ世界の文化には、古代ギリシャ・ローマとキリスト教という大きな2つの源流をたどることができます。ルネサンス以降の画家達が、一方では古代神話、他方では聖書や聖人伝から題材を得ながら、複雑な愛をさまざまな形で表現してきました。

ギリシャ・ローマ神話の愛は、愛する者の全てを所有したいという強烈な欲望が描かれています。意中の相手の無防備な寝姿を眺めるヴァトーの《ニンフとサティロス》では、見ることによって愛する、眼差しを通した欲望を見出すことができます。

一方、キリスト教の捉え方で重要なのは、親子愛です。そこには愛する者のために自分を犠牲にする愛があります。サッソフェラートの《眠る幼子イエス》のように、16世紀以降は聖母マリアと幼子イエスを中心に据えた「聖家族」の絵画が盛んに描かれるようになります。

17世紀のオランダの風俗画では、酒場で顔を寄せ合う庶民の男女、愛の売買を取引する若者と取り持ち女など、現実の一コマを切り取ったような男女の人間味溢れる愛のあり方が生き生きと描かれました。オランダの画家たちは象徴的な身振りやモチーフを駆使しながら、性愛をめぐる寓話を巧みにしのばせました。

サミュエル・ファン・ ホーホストラーテン 《部屋履き》 1655-1662年頃 パリ、ルーヴル美術館
Photo © RMN-Grand Palais (musée du Louvre) / Michel Urtado / distributed by AMF-DNPartcom

人物が不在の室内を描いた、サミュエル・ファン・ホーホストラーテンの《部屋履き》は、一見、愛のテーマとは関係なさそうな絵画ですが引き込まれます。人物が描かれていないのに人の気配を感じさせる、観る者の想像力をかきたてる作品です。

絵から何か新しい発見がありそうな本展。自分なりに、この絵は何を表現したかったのだろうと想像してみるのも楽しそうです。

18世紀フランスのロココ時代の画家、フラゴナールの《かんぬき》にも注目です。部屋にかんぬきをかける男と抱き寄せられる女性が描かれ、性愛という繊細で複雑なテーマに光が当てられています。26年ぶりに来日するので見逃せません。

フランス革命を受け、身分制が解体された18世紀末から19世紀前半のフランス社会では、結婚に際し、身分や家柄ではなく愛情に基づく絆を重視する傾向が高まっていきます。そのような時代を背景に、手つかずの自然の中で純朴な若者たちが愛を育むという牧歌的恋愛物語が文学や美術で流行します。

また、個人の主観や感情を重視したロマン主義の芸術家たちは、ピュアな愛で結ばれた恋人たちが不幸な結末を迎えるといったシェイクスピアなどの文学作品に着想を得て、悲劇の愛をドラマティックに描いています。

「愛」をテーマにした、これまでになかった趣向の展覧会です。コロナ禍で思うように行動できなかったり、落ち込んだりすることもありますが、そんな時こそ美しい絵画を観て気分転換。きっと気持ちも前向きになるはず! お気に入りの作品を見つけてみてはいかがでしょうか。


ルーヴル美術館展   愛を描く
会期:2023年3月1日(水)~6月12日(月)

会場:国立新美術館 企画展示室1E (東京・六本木)

休館日:毎週火曜日 ※ただし3月21日(火・祝)、5月2日(火)は開館、3月22日(水)は休館
開館時間:10:00~18:00 ※毎週金・土曜日は20:00まで ※入場は閉館30分前まで

観覧料:一般 2,100円、大学生 1,400円、高校生 1,000円
※中学生以下(学生証または年齢のわかるものが必要)は入場無料
※障害者手帳をご持参の方(付添の方1名含む)は入場無料
※2023年3月18日(土)~31日(金)は高校生無料観覧日(要学生証提示)

※混雑緩和のため、事前予約制(日時指定券)を導入しています。
※国立新美術館では会期中に限り当日券の販売を予定しています。
予約方法等の詳細は展覧会ホームページにてご確認ください。
https://www.ntv.co.jp/love_louvre/
お問い合わせ TEL 050-5541-8600(ハローダイヤル)

【巡回展】

京都市京セラ美術館
会期:2023年6月27日(火)〜9月24日(日)
住所:京都府京都市左京区岡崎円勝寺町124

TOP画像:フランソワ・ブーシェ《アモルの標的》1758年 パリ、ルーヴル美術館 Photo © RMN-Grand Palais (musée du Louvre) / Gérard Blot / distributed by AMF-DNPartcom

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