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NO.222 伝説ラッパーの王冠リング、サザビーズのオークションに登場

BJI ブログ No.222

2023年7月18日サザビーズが実施するヒップホップ記念品のオークション。中でもルビーとダイヤモンドがちりばめられた王冠リングに注目が集まっています。
このリングは、1996年25歳で夭折したラッパー兼俳優、トゥパック・アマル・シャクール(通称「2Pac」)が所有していたもの。K14イエローゴールドの枠にカボションカットやファセットカットのルビー、ダイヤモンドがセッティングされたゴージャスな仕様になっています。気になる落札価格は20万ドル(約2,840万円)~30万ドル(約4,260万円)になるだろうと言われています。

シャクールといえば、1990年代前半黒人の若者を主人公に10代の妊娠や警官による暴行、貧困など当時の(そして現在でも起こっている)社会問題をテーマにした尖った歌詞やすばらしいビート感覚で、今までにはない楽曲を発表してきました。

2017年4月ロックの殿堂入りを、2023年6月にはハリウッドの殿堂入りを果たしたソロ・ラッパー、そして2枚組アルバムをリリースした初めてのヒップホップ・アーティストとして今でも話題に上る伝説のアーティストです。

彼は、NYのスラム街で生まれ育ち、その後ブラック・パンサー党員の母に連れられ、住まいを転々と移動する生活を送ってきました。母親がドラッグ中毒で劣悪な家庭環境の中、詩を書くのが好きだった彼は、麻薬の売人たちの世話になりながらラッパーになる夢を追い続け、ついに2Pacの名前でソロデビューを果たし、その後数々の成功を手にしていきます。

ただ短い生涯の中、いくつかの逮捕歴があるお騒がせな人物でもありました。そのひとつ、1993年女性への性的暴行で訴えられた事件の裁判では、1995年有罪の判決を受け刑務所に服役。獄中で3枚目のアルバムをリリースし、アメリカの音楽チャートで初の1位に輝きます。それが功を奏し、保釈金を条件にレコード会社の移籍の話がトントン拍子に進みます。

このリングを制作したのは、1996年初め、ちょうど刑務所から釈放されたばかりのころのこと。プライベート、そしてアーティストとしても再出発を目指していた彼にとって、このリングは「戴冠式」と「再生」を意味していたと言われています。2枚組CDとなる4枚目のアルバムも好調で、音楽チャート1位を記録、彼の前途は順風満帆のように見えました。

しかし、同じ年の9月悲劇が起こります。ラスベガスで、マイク・タイソンの試合を観戦後、車で移動していたところを何者かに発砲され、命を落とします。

リングは、アメリカの音楽業界の巨匠、クインシー・ジョーンズの娘である女優キダダ・ジョーンズとの婚約を記念して、2Pac自らがデザインし、リングの外側の手のひらにあたる部分には「Pac & Dada 1996」という刻印がされています。またサザビーズによると、「小指にピンキーリングをはめ、その隣の薬指にはめていたためか、ピンキーリングが触れる片側だけ目に見えて磨耗している」とのこと。

彼が亡くなる数日前、全米最大規模の音楽授賞式 MTV Video Music Awardsでも着用していたというリング。この時期が彼にとって最高に幸せな時だったのではないでしょうか。

画像出展元: sothebys.com

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ハートシェイプのパパラチアサファイアをセンターに配し、両脇にピンクサファイアとダイヤモンドが連なるリング。BJIのオリジナルリング。
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