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あなたの知らないオークションの世界 4

Text : Harada Nobuyuki

原田 信之 株式会社ジュエリーアドバイザーアンドギャラリー 取締役社長 jaag.jp


 オークションで購入をするにはオークション会社に登録をしてカタログを購入することから始まる。カタログと言えばブランドやメーカーの販売促進のためのものが一般的だが、オークションのカタログは情報を正確に伝えることを主眼としている。
 まずは日程を確認する。オークション当日はもちろんのこと下見会の場所、日時も重要だ。下見会ではカタログで目星をつけたものを手に取って見ることができる。通常、オークションの2、3日前からオークション当日の午前中まで行われる。遠方の方は当日の午前中に下見してオークションに臨むのが効率的だ。
 現実的に大事な情報として手数料のチェックは不可欠だ。オークションでは高額になればなるほど手数料が低くなる。例えば、国際的なオークションでは25万ドルまでは落札価格の25%、25万ドルから38万ドルまでは20%、38万ドル以上は12·5%という具合になる。分かりづらいので下記に50万ドルで落札した場合の手数料を表にしたので参考にして頂きたい。
 高額落札ほど手数料%は低くなる。国内のローカルオークションは国際オークションよりも手数料は低くなるのが一般的で、同じようなスペックのものはローカルオークションが割安である。
 カタログ本編の個別ロットのページでは画像とデータを確認することができる。画像は基本的に実物大に近いものが載っている。心配ならデータにジュエリーのサイズやメインストーンのサイズが記載されているので確認すると良い。大事なのはこのメインストーンの寸法だ。親切なカタログは縦×横×深さが記載されている。記載されていなくてもオークション会社に問い合わせれば教えてくれる。重量(カラット)ももちろん記載されているが、見た目の大きさのほうが大切だ。特にカラーストーンは深いものが多いので重量よりも見た目が小さくなる。一概には言えないが、目安は短辺に対する深さの割合が70%を超えると気をつけたほうが良い。カラーストーンは深さだけでなくパビリオン側のバルジ(裏側の膨らみ)も重量に大きく影響するので余計難しい。浅くてきれいな石の場合はお買い得なことが多いことも覚えていたほうが良い。
 価値に大きく影響するダイヤモンドのグレードやカラーストーンの産地、処理の意見が記されたレポートの主な内容もチェックポイントだ。国際オークションの場合はダイヤモンドのレポートはGIAに限られている。ローカルオークションも大粒ダイヤモンドはほとんどがGIAだ。一方、カラーストーンはどのラボがどのような意見を述べているかをプロは見ている。伝統のあるスイス勢のSSEFやGUBELINと米国のAGLは国際的に評価が高くプロが好む。最近では資本力のあるGIAのカラーストーンレポートも台頭してきている。ラボの間でも意見が異なることも珍しくないので高額な宝石には複数のラボの意見が添えられている。レポートの内容がカタログに掲載されていなくてもオークション会社に問い合わせればコピーをファクスかメールで送ってくれるので気になるものは確認が必要だ。とは言ってもいかなるラボの意見も鵜呑みは禁物で、まずは自分自身の目で美しさを判断することが大前提だ。

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