NO.268 日本の伝統工芸、ポルトガルから伝来した秋田の銀線細工
日本最大の銀産出量を誇っていた秋田。江戸時代から伝わる伝統工芸品、秋田銀線細工をクローズアップして紹介します。
ポルトガル、長崎、秋田へ。受け継がれた伝統工芸
Text=Brand Jewelry
秋田といえば、お米のあきたこまち、きりたんぽ、稲庭うどん……と食べ物ばかり浮かんできてしまいますが、江戸時代から伝わる伝統工芸品、秋田銀線細工をご存知でしょうか。
かつて秋田は、日本最大の銀産出量を誇っていました。その銀をわずか0.2㎜の厚みの銀線に加工したものを紡いで作られるのが、銀線細工です。
銀線細工の技法については諸説ありますが、1550年、ポルトガル船が平戸(長崎県平戸市)に初入港し貿易を行っていた期間に、キリスト教とともに伝わったと考えられています。
ポルトガルには、金糸・銀糸を縒(よ)り合わせ、精巧なレース模様を作る「フィリグラーナ」という伝統工芸があります。その起源は、紀元前5世紀から2世紀からともいわれています。
それが長崎の平戸で広まり、江戸へ。そして良質な金、銀が産出される秋田へと受け継がれていきます。
秋田藩では歴代藩主の保護奨励の下、金銀細工の刀装具や装身具(かんざし、キセル、根付など)が盛んに作られていました。
1876(明治9)年、廃刀禁止令により武士階級の需要がなくなると、刀装具を作っていた職人が失職、市場では庶民の装身具のための錺(かざり)職による銀線細工の品が多く見られるようになります。
昭和に入り和装から洋装へと移っていく中で、銀線細工もネックレス、イヤリング、ブローチといったアイテムへと変わっていきました。
銀線細工は、すべて熟練の職人による手仕事。繊細な銀線を巻いたり曲げたりして模様を作っていくのですが、細かい作業のため技術習得にはかなりの根気と忍耐力が必要。1つのアイテムを作るのに2~3年かかるそうです。
秋田銀線細工の職人は高齢化が進んでいて、現在はわずか10人ほど。その伝統を継承すべく、2019年に立ち上がったのが矢留彫金工房です。工房では女性3人で作品を制作し、販売のほかに、彫金の基本を学べる教室も開講、将来へ向けた取り組みも行っているそうです。
ポルトガルから秋田へ脈々と受け継がれてきた銀線細工、これからもっと輝いていってほしいものです。
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TOP画像出展:矢留彫金工房 秋田銀線細工 インスタグラムより
https://www.instagram.com/yadome_silver/
19世紀に作られた、ローズカラーゴールドのダイヤモンドブローチ。3つのダイヤモンドは、ブリリアントカットが開発される以前、ダイヤモンドから輝きを引き出すために用いられていたローズカットです。ジャケットの襟元に映えます。シックな輝きなので、男性にもおすすめ。
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