
第36回 国際宝飾展(IJT 2025)で展示されたイタリアンジュエラーの個性と魅力
Text=Brand Jewelry
多様のデザインとつくりのイタリアンジュエリーは、IJT2025会期中、多くの来場者の目を楽しませました。
デザインと技術で世界をリードするイタリアンジュエリー。紀元前1世紀頃、イタリア半島中部に繁栄した古代国家エトルリアの粒金細工は後世、似たようなものが作られたものの、本当はどのように、誰が作ったのか、その技術はいまだに解明されていません。現代でもイタリア製品の中には、同業者の職人が見てもわからないという複雑な細工があり、優れたイタリアの宝飾技術は業界内で一目置かれています。
カメオの伝統を引き継ぐ者
IJT2025(1月15日〜〜1月18日開催)で、イタリア大使館貿易促進部(本部はローマのItalian Trade Agency – ITA)がサポートしたイタリアの参加企業の中に、60年以上の経験を有するカメオのマエストロが来日していました。
古代ローマまで歴史を遡ることができるカメオは、イタリアの伝統の1つです。ラファエレ・ペルニーチェ・カメオズの作家であるペルニーチェ氏によると、カメオは分業制でなく、最初から最後まで1人で仕上げるため、根気がないとできない職業。ある程度のカメオ技術を修得するには少なくとも10年かかるため、後継者の育成が課題です。ここで取り上げたカメオは、天使の横顔にアイビーの葉が周囲に浮き彫りにされ、白と茶のコントラストがきれいでした。カメオとは石やシェルが持つ色の層に着目し、彫り上げ、造形を描写する技術をいい、その技術によって作られたものもカメオと呼びます。

カメオで有名なトーレ・デル・グレコの偉大な芸術家と呼ばれる物故作家ジェンナーロ・ガロファロの作品も多数展示されていました。動植物や歴史の一幕を浮き彫りにした大きな作品が多く、圧倒的な存在感を放っていました。身につけるよりもフレームに収めて飾っておきたい芸術作品といえます。出店者の2代目のガロファロ・カメイは、デイリーに着用できる新しい感覚のカメオを展示し注目されていました。

魅惑的な地中海珊瑚のジュエリー
サルデーニャ島の企業、サンナ・ジョイエッリは、オレンジ色がかった赤い地中海珊瑚のジュエリーを制作。その珊瑚を留める金細工はイタリア独自の技術だそう。赤と金色が不思議にマッチしています。大ぶりなジュエリーばかりでなく、華奢なピアスやリングも揃っていました。

サンナ・ジョイエッリ
金と銀のジュエリー
フィレンツェの老舗ジュエリー企業、メリ・ジョイエッリのブースで気になったのは、細かなパーツのチェーンネックレス。小さなパーツを手で繋ぎ合わせて制作しているそうで、温かみを感じます。パーツを選んでオリジナルをオーダーできるところがセールスポイント。バイヤーの目に留まっていました。

フラボッソはマシンメイドのチェーンで有名なヴィチェンツァの企業。入手しやすい価格帯のシルバージュエリーは、軽快な雰囲気があり、今のファッションにピッタリ、という印象でした。

フラボッソ(日欧貿易)
トップ画像:左)駐日イタリア大使館 大使ジャンルイジ・ベネデッティ氏、右)イタリア大使館 貿易促進部 部長 ジャンパオロ・ブルーノ氏
お問い合わせ: イタリア大使館貿易促進部 https://www.ice-tokyo.or.jp/