
NO.391 ロンドンの王立取引所の風見鶏がなぜ黄金のバッタなのか
16世紀に製作されたバッタの印章の指輪が高値で落札されました。なぜそのような価格になったのか、面白い歴史を紐解きます。
2025年6月17日にロンドンのオークション会社ヌーナンズ・メイフェアで開催された「宝飾品、時計、銀製品、そして美術工芸品」オークションで、1500年代の印章付き指輪が登場しました。予想落札価格1万ポンドから1万5000ポンド(約196万~300万円)を上回り、4万2000ポンド(約825万円)で落札されました。
この指輪は、金融家で商人のサー・トーマス・グレシャム(1519-1579)が知人や関係者に贈った指輪シリーズの1つです。トーマス・グレシャムは、「グレシャムの法則ー悪貨が良貨を駆逐する」という言葉を提唱し、チューダー朝の全盛期である16世紀、ヘンリー8世、エドワード6世、メアリー1世、エリザベス1世の4人の君主の財政顧問として仕えた人物です。
不安定な市場の金利を予測し、銀行家、ブローカー、引受人などとの交渉術に長け、1559年外交使節として海外に出発する前にサーの称号を与えられました。王室の代理人としてアントワープでは、約25万ポンドあった王室の負債を1565年までにわずか2万ポンドにまで減らすことに成功しました。
1565年ベルギーのアントワープ証券取引所をモデルにした王立取引所(ロンドンのシティにある現在の旧王立取引所)設立の中心人物としても知られています。
話題を指輪に戻しましょう。このシリーズの指輪は、今回登場したものを含めてわずか10個しか知られていません。1つは大英博物館、2つ目はヴィクトリア&アルバート博物館、3つ目はウェールズのカーディフにあるセント・ファガンズ国立歴史博物館に所蔵され、その他は個人コレクションとなっています。
指輪の正面にワーナーの家紋が入り、その裏側にはグレシャム家の紋章である緑色のエナメル加工を施したバッタがデザインされています。19世紀から個人に受け継がれ、2010年頃までそこで保管されていました。今回オークションに出品されるのはほぼ50年ぶりだということです。
オークションハウスによると、このワーナーとは、ロンドンの織物商である「マーク・ワーナー」ではないかいうことです。
ヌーナンズ副社長兼ジュエリー部門責任者のフランシス・ノーブル氏は「マーク・ワーナーとトーマス・グレシャムは共に織物商で、金融に携わり、シティにあるロンバード・ストリートに居住し、働いていたため、2人が出会っていた可能性は否定できません。ただし2人を結び付けるような特別な出来事や共通の趣味、事業など立証するものもないので、知り合いだったとも言い切れません」と述べています。
また、「この一連の指輪は、グレシャムが過去の功績への謝礼として贈ったものかもしれません。こうした高価な贈り物を贈った理由として考えられるのは、将来サー・トーマスに利益をもたらす可能性のある人物であった可能性が高いと思われます。それぞれの指輪の内側に隠されたバッタの紋章が、贈られた人物が誰に忠誠を誓うべきかを示唆しているのです」とも語っています。
グレシャムの家紋がなぜバッタなのでしょうか。言い伝えによると、トーマスの先祖であるロジャー・ドゥ・グレシャムは、幼少期にノーフォークの草むらに捨てられていました。ある女性が一匹のバッタの鳴き声で彼に気づき、九死に一生を得ました。そこからグレシャム家の家紋がバッタになったといわれています。
旧王立取引所の屋根には、今も風見の役割をしている黄金のバッタがシティを見下ろしています。
画像出典:www.lbma.org.uk

曲線が美しい柔らかなハートシェイプのペンダントトップ。どんな服にも合いつつ、平凡ではないジュエリー。シルバーxプラチナの耐久性のある素材。メレダイヤモンドが煌めきます。
オンラインショップはこちら。

バロックパールが蜂が止まっている様子を描いた大人可愛いネックレス。上品だけどポップな雰囲気もあるデザイン。蜂は幸運をもたらし、強運になる、災害を防ぐなど意味し、日本でも海外でも人気のモチーフです。スペイン製
オンラインショップはこちら。
メンバーの方には一足先にお得情報をお知らせします。会員登録はこちらから
https://brandjewelry.shop/usces-member/?usces_page=newmember