貴金属はジュエリーでは「縁の下の力持ち」的に扱われることが多いが、貴金属だけでできた素敵なジュエリーはたくさんあります!
Written by Brand Jewelry
ジュエリーの基礎となる貴金属の形状は多様に変化します。形や質感は、金属の性質を理解した職人技によって作り出されます。メタルワークの可能性を見てみましょう。
ジュエリーを見る時、選ぶ時、どこに一番焦点を当てますか? 大抵はダイヤモンドやカラーストーンの大きさや輝き、数多くセッティングされたメレの美しさに目と心を奪われてしまっているでしょう。しかしどんなに美しい宝石も単独ではジュエリーになることができません。宝石には必ず貴金属という支えが必要です。貴金属の存在は宝石の輝きや色の美しさを最大限に引き出すことを第一目的とされているため、あまり目を引かないかもしれませんが、金属だけで作られたもので、宝石に引けを取らないほど美しく、存在感のあるジュエリーも世の中にはたくさんあります。
ジュエリーに用いられる金属はゴールド、プラチナ、シルバーの3種類で、その他ステンレス、パラジウムなどがあり、さらに日本独自の合金である四分一、赤銅、杢目金も有名です。宝飾品用の金属の歴史は古く、各国に独自の技術が発達しました。壮大なゴールドの装身具で思い出すのは古代エジプトの遺跡で発掘された黄金のマスクや首飾りなど。すべて王家の宝物です。一方、古代ローマの遺跡で発掘されている指輪には鉄製があります。身につけていたのは軍人か、富裕層か、王侯貴族ではないようです。当時ゴールドは今以上に貴重で、容易に入手できませんでした。日本では江戸時代に刀装具の装飾、髪飾り、帯留などを作るために合金、彫金の技術の開発が進み、庶民でも楽しめるようになりました。日本人は「地味派手」と言われるものを愛好する傾向があります。目立たないけれど、じっくり見ると細工が良いもの、凝っているもの。メタルジュエリーは実は日本人の好みに合っているのです。
ジュエリーに接する機会が少ない人が区別するのが難しいのは、ホワイトゴールド、プラチナ、シルバーの違いです。見た目は同じ白ですが、それぞれ性質が違います。
ホワイトゴールドは金にパラジウムなど白色系金属を割り金して白くしたもの。さらに白色金属のロジウムでコーティングを施して白さと輝きを補っています。金は錆びることなく、安心して着用でき、他の金属と合金しやすいので、宝飾品には欠かせません。最近は色数が増えピンク、レッド、グリー、グレー、ブラックなど豊富になっています。ただし本来の色である金色以外は、混ぜて作った色なので、長く使う間に変色することもあります。
ブライダルリングで最もよく目にするプラチナは、本物の「白」の金属です。日常に使っている分には変色や変質の心配はありません。また粘り強い性質があるため、小さな爪で宝石を留めることができます。19世紀末から20世紀初頭にかけて、フランスではガーランドスタイル、イギリスではエドワーディアンスタイルというダイヤモンドを数多くセッティングするジュエリーが流行しましたが、その流行をもたらしたのは、1803年イギリスでプラチナの精錬・加工技術が解明されたのがきっかけです。宝石商はこぞってプラチナという新素材で新しい商品を作り出しました。真っ白なプラチナとダイヤモンドは相性が良く、経年変化をしない2つの素材を使ったダイヤモンド・プラチナジュエリーは、製作されてから100年以上経っても当時の美しい姿を残しているものが少なくありません。
プラチナが発見される前はダイヤモンドは、同じく白という理由でシルバーに留められていました。シルバーは日本ではジュエリーというよりもアクセサリーとして扱われますが、欧米では昔からシルバーウェアに始まり、生活に不可欠な金属で、ジュエリーとしても愛用されています。今でもティファニー、ジョージジェンセン、クリストフルといったブランドのシルバージュエリーは生涯愛用できるほど高品質です。
イエローゴールドの金の色は永遠に持続します。粘り強いプラチナに対して、ゴールドは薄く長く伸びるという特徴があります。そのため曲線の多いデザインに向いています。日本、ヨーロッパ、アメリカでは18金がメインですが、インドや中東などでは20金が人気です。9金、10金など金の品位が低いものは安価ですが、時間とともに変色する恐れがあることを、ちょっと気に留めておくといいでしょう。
当記事はBrand Jewelry2019Winter-2020Springを再編したものです。
メンバーの方には一足先にお得情報をお知らせします。会員登録はこちから
https://brandjewelry.shop/magazine/usces-member/?usces_page=newmember