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2月の誕生石は、ステータスシンボルだった高貴な紫色の宝石アメシスト

Written by MACHIDA Akemi

葡萄のような瑞々しいアメシストの紫色は、古代エジプトの時代から人々を魅了し、19世紀のヨーロッパや開国後の日本でもブームとなった。


1つの宝石の中にアメシストとシトリンが入っているバイカラー、アメトリンも人気。

高貴でミステリアスな輝きを放つアメシストですが、どんなイメージをお持ちでしょうか。祖母や母がよくアメシストの指輪をつけていたという人もいるでしょう。今では手に入りやすくリーズナブルな印象もありますが、歴史的に見ると古代からアメシストの紫色は高貴な色とされ、王族貴族だけが身につけられる貴重な宝石でした。

アメシストは水晶の一種で、2月の誕生石に設定されています。葡萄のような瑞々しい紫色は鉄分の混入によるもので、その色味は幅広く濃い紫、青みを帯びた紫、赤みが強い紫、薄い紫など、ものによって全く違った色をみせます。さまざまなサイズにカットされますが、大粒のカボションカットや、細かくファセットカットが入ったものや、四角形にカットされたステップカットもよく見られます。

ブシュロン BUCHERON/Brand Jewelry 2015Summer-Autumnより。

アメシストは古くから人々を魅了してきた宝石で、遡ることヨーロッパでは2万5千年も前の遺跡からアメシストの装身具が発見されています。古代エジプトの時代から紫色は高貴な色とされ、クレオパトラも愛した宝石と言われています。中世ヨーロッパでは、アメシストは王冠をはじめ、さまざな装飾品に使われ、今のように誰でも持つことができる宝石ではなかったのです。

紫色が高貴な色として伝わったのはなぜでしょうか。日本でも昔、冠の色で等級を示す「冠位十二階」の最高位に紫が使われていました。高貴な色だった理由として、紫色を作り出すことが難しかったためではないかと言われています。紫色を作るには植物や巻貝を必要としましたが、手間がかかるため高価となり、王や貴族のみが使用できる高貴な色として定着したようです。

ビザンチン帝国のアメシストのカメオ/Brand Jewelry 2016Summer-Autumnより。
1890年頃のペンダントネックレス ボンド・ストリート/Brand Jewelry 2014Summer-Autumnより。

19世紀に入るとヨーロッパでアメシストが流行し、1880年代からイギリスで起こったアーツ・アンド・クラフツ運動で作られたペンダントや、フランスのアール・ヌーヴォーの宝石職人たちが作る芸術的なジュエリーにもアメシストがよく選ばれました。現在も多くのブランドでアメシストをふんだんに使用したハイジュエリーが創られています。

ゾッカイ ZOCCAI /Brand Jewelry 2013Winter-Springより。

日本では江戸時代の開国以来、さまざまな宝石が輸入されましたが、特に大正、昭和初期の指輪にはダイヤモンドやルビー、オパールなどと同様にアメシストがよく使われました。19世紀まではアメシストの原産地はロシアでしたが、現在はブラジル、ボリビア、ウルグアイ、ザンビアなどで産出されます。高貴な紫色の宝石の地金は、ホワイトゴールドやプラチナと組み合わせるとより上品な印象になり、イエローゴールドと組み合わせるとアメシストがより華やかに見えます。選ぶ時のポイントは、色の深さや透明度の高さ、肉眼でよく見て色ムラがないかなどを見て決めましょう。

1つの宝石の中にアメシストとシトリンが入っているバイカラー、アメトリンが好きで集めているという人もいます。アメトリンには、何となくぼんやりと2色が見えるものもありますが、明確にパープルとイエローの色味が分かれているものが人気があります。天然の非加熱のアメトリンが採れるのは、ウユニ塩湖のある南米ボリビアでしか採れないと言われています。

日本女性の清楚な美しさ、凛とした強さを引き出してくれるアメシスト。カジュアルに、もっと普段使いで取り入れてみませんか。家で過ごす時間が増えてもおしゃれに手を抜かずに過ごしたいもの。全身を淡いベージュ系で揃える流行のスタイルに合わせると、紫のアメシストが差し色となって上品にきまります。眺めているだけでも心が自然と落ち着いていくのもアメシストの効果です。新型コロナウイルスの収束が見通せない不安な時代ですが、優しいラベンダーカラーのジュエリーを身につければ、心穏やかに過ごせそうです。

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*トップ画像:PIAGET(ピアジェ)Brand Jewelry2014Summer-Autumnより。

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