No.32デンマークのジュエリーブランドが挑む、新たなサスティナビリティ
BJI ブログ No.32
ジュエリー業界にも広がりを見せつつあるSDGs(Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標)への取り組み。ついには、「今後制作するジュエリーに使うダイヤモンドは、合成のものしか選ばない」という企業が現れました。
AFP通信によると、デンマークのジュエリーブランド、パンドラ(Pandora)は、2021年5月4日(現地時間)からエシカル(倫理的)な製品を作るため、天然ダイヤモンドの使用を停止すると発表しました。同社は同日、合成ダイヤモンドを使ったコレクションを披露、まず英国で販売し、来年には世界展開する予定だということです。
デンマーク人の金細工師ペア・イーネヴォルセンとヴィニー・イーネヴォルセン夫妻によって、1982年、コペンハーゲンの小さなジュエリーショップでから始まったパンドラ。その後事業は、小売活動からオリジナルジュエリーの製造へと移行しました。
2000年に発表したチャームブレスレットが世界的に成功。「高品質な素材を用い、手仕上げされた商品を手に届きやすい価格で」をモットーに、現在では6大陸100か国以上にわたり、2,400箇所以上のコンセプトストアを含む7,800箇所の店舗で販売。日本では、ネット通販でチャームをはじめ、ブレスレット、リング、ピアス、ネックレスを展開中です。
合成ダイヤモンドは、人権や環境に対する配慮がされていることから注目を浴びていますが、生成過程で高温が必要となるため、大量のエネルギーを消費することはご存知の通り(当ブログNo.20のスカイダイヤモンド参照)。
パンドラによると合成ダイヤモンドのコレクションは再生可能エネルギーを平均60%使用、2022年までにはその値を100%にするということです。
同社のサスティナブルへの取り組みは、ダイヤモンドに限ったことではありません。サイトでは、2025年までに「全製品に使用する金と銀をリサイクルされた素材にする」、「自社工場やオフィス、店舗、倉庫までC02を排出しないカーボンニュートラルを目指す」と謳っています。さらにタイにある自社工場には、ソーラーパネルを設置し環境に優しい電力を独自で生産、自社工場での廃棄物および廃水の削減を行うなど徹底しています。
「ダイヤモンドは永遠というだけでなく、すべての人のためにある」と語るAlexander Lacik(アレクサンダー ラシク)最高経営責任者(CEO)。
サスティナブルの動きが加速する中、ダイヤモンドは「憧れ」ではなくより入手しやすい日常使いのジュエリーへと、今までの価値観や認識が変わっていくのがひしひしと感じられます。(C)