No.122 知っておきたい宝石の「別名」、コマーシャルネーム、フォルスネーム
BJI ブログ No.122
ネットでいろいろ宝石を検索していると、「イブニング・エメラルド」という文字が飛び込んできました。
「えっ、エメラルドにそんな名前のものがあったかしら?」と思ったら、後ろに(ペリドット)という記載がありました。古代ローマ時代、夜のろうそくの明かりの下でも鮮やかな緑色の輝きを放つことから、この名前で呼ばれていたのだそう。エメラルドと同じ緑色をしているからなのかもしれませんが、ペリドットはエメラルドとは全くの別の鉱石です。
一般的に知名度が低く価値があまり高くない宝石に、より価値が高い宝石の名前と類似するような名前を付けていることが見られることがあり、宝石を購入するときは注意が必要です。こうした宝石は、『フォルス(偽りの)ネーム』と呼ばれ、上記のエメラルドの他にも、
「アフリカ・ダイヤモンド」→ホワイトトパーズ
「アラスカ・ダイヤモンド」→無色のクォーツ
「セイロン・ダイヤモンド」→無色ジルコン
「オーストラリア・ルビー」→オーストラリア産ガーネット
「シベリア・ルビー」 →ロシア産トルマリン
「スピネル・ルビー」→レッド・スピネル
「ウォーター・サファイア」→アイオライト
「ブラジル・サファイア」→ブルートパーズ
「インド・ヒスイ 」→アベンチュリンクォーツ、などがあります。
実は宝石の名前は、フォルスネームや鑑別書に記載される正式な名称とは別に以下のような名前も存在しています。
◎『別名』:鑑別書の備考欄などの石名の前に「別名」と記載されているもの。
流通している名前が一般化し、正式名称よりも認知度が高いもの(お店のプライスタグに「別名」として記載されていることもあります)。
たとえば、
パパラチア:オレンジがかったピンク色のサファイアとして知られていますが、宝石名はサファイア。
インペリアルトパーズ:オレンジが美しい希少性の高いトパーズ。宝石名はピンクトパーズと表記。
ツァボライト:ティファニー社が命名したエメラルドのようなグリーンが美しいガーネット。宝石名はグロッシュラーガーネット。
「別名」から「宝石名」へ昇格(?!)した宝石もあります。
それは、タンザニアで発見された深いブルーや紫の光を放つ宝石、タンザナイト。正式名は「ブルーゾイサイト」ですが、その色合いがタンザニアにあるキリマンジャロの美しい夕暮れ時を連想させることから、ティファニー社が「タンザニアの夜」=「タンザナイト」と名付け、あっという間に世界中に広まりました。2018年、日本の鑑別団体協議会(AGL)が宝石名として認め、鑑別書の表記も「別名:タンザナイト」から「宝石名:タンザナイト」へと変わりました。
◎『コマーシャルネーム』:鑑別書への記載がされませんが、流通している名前として知られているもの。
たとえば、
「サンタマリア・アフリカーナ」:アフリカで採れる濃いブルーが美しいアクアマリン。ブラジル・サンタマリア鉱山で採れるサンタマリアという名の濃いブルーが美しいアクアマリンと似ていることから、この名前で呼ばれています。
「マンダリンガーネット」:スぺサルティンガーネットの1種でマンダリンオレンジのような鮮やかな色合いが魅力。表記はスぺサルティンガーネットです。
宝石名以外は、あまり認知されていない宝石を世に広く知らせるという意味合いがある反面、購入する側からすれば誤解を招くような呼び名があることも確か。ではそれなら、「フォルスネームとそうでないものと、どうやって見分けたらよいの?」という疑問がわいてきます。
対策としては、お店で気に入った宝石があったら、プライスタグの表記を確認したり、お店の人にその商品について尋ねてみましょう。先方の説明がしどろもどろだったり、はっきりしない、または上から目線で「こんなことも知らないの?」という態度なら、他のお店に行くことをお勧めします。
「長く大切に楽しみたいジュエリー」だから、宝石の正しい知識をもつお店できちんとした説明を受け、納得した上で購入したいものですね。(宝石店選びについては、当ブログNo.86やNo.91を参考にしてみてくださいね)
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