No.185 カミラ新王妃、戴冠式にコイ・ヌール・ダイヤモンドを着けない理由
BJI ブログ No.185
世界中で数十、数百年前の「負の遺産」を検証し、謝罪や賠償などを求める動きが活発です。今、イギリスでは資産性の高いある宝石の所有権をめぐる話題が王室ファンの間で注目されています。
チャールズ3世国王とカミラ王妃の戴冠式が 2023年5月にロンドンのウェストミンスター寺院で行われることは世界中で報道されていますが、「かつてイギリスで最も嫌われた女性」と言われながらもエリザベス女王に認められ、王妃の座を与えられた新王妃は、どんな王冠を身に着けるのでしょうか。
イギリス王室は、1911年ジョージ5世の戴冠式に彼の妻であるクイーンメアリーが身に着けていた王冠を使用することを発表しました。
かつてこの王冠には、世界最古の大粒ダイヤモンド、コ・イ・ヌールがセッティングされていました。
1937年のジョージ6世の戴冠式の際にも、クィーンマザー(エリザベス女王の母)の王冠にコ・イ・ヌールがセッティングされていました。
そのためカミラ王妃の王冠にもコ・イ・ヌールが使われるのではないか?と噂されていました。
しかし、今回の戴冠式では「コ・イ・ヌール ダイヤモンドは使用しない」ということが明らかになりました。
その理由として、2022年9月にエリザベス2世が亡くなった際、インド政府が英国王室に対しこのダイヤモンドを使用することに懸念を表明。インドのSNSで「このダイヤモンドが再び戴冠式で使用されることを疑問に感じている」という声が少なからずあったことが一因のようです。
コ・イ・ヌールは(当ブログNo.153でも紹介)、インドの鉱山で採掘され、ペルシアやインドの権力者の手を転々とした末に、北インド・パンシャブ地方のシク王国ランジード・シング王のもとにたどり着きました。その後大英帝国の一部となったインドから、イギリスへ譲渡され今日に至っています。
その所有権をめぐり、長年にわたり論争が繰り広げられてきました。
1970年代にはパキスタンが返還を要求。2000年にはタリバンが「アフガニスタンのものだ」と主張してきたこともありました。インド政府もたびたび返還を要求し、2016年には公式な外交ルートを通じて返還を求めていますが、その主張に対し、イギリス側は頑なに拒み続けています。
一時静かになっていたこの話題、チャールズ新国王の戴冠式の前に再び大きな問題として浮上してきています。
現在もインドはイギリス連邦の重要な一部であり続けていますが、「コ・イ・ヌールの問題」はチャールズ3世にとって両国の政治的なつながりの上でも頭痛のタネのひとつ。
というのも、2021年イギリス連邦王国の一つ、バルバドスが女王を国家元首から外し、立憲君主制から共和制へと移行したことが挙げられます。他のカリブ海諸国も同様のことを検討していると考えられていて、今後のイギリス連邦王国の存続が危ぶまれています。
コ・イ・ヌールを使わないという選択をした英国王室は、王冠にエリザベス2世へのオマージュとして、カリナン III、IV、V のダイヤモンドをセッティングすることにしました。
またカミラ王妃は、ジョージ3世の王妃のシャーロットから始まった自分専用の王冠を作るという伝統を踏襲せず、既存のクイーンメアリーの王冠を使用することにしました。
イギリス王室はこの決定の理由として、「エネルギー効率の面とサスティナビリティにも配慮した結果」と語っています。
一方チャールズ3世は、現在ロンドン塔で一般公開されている聖エドワードの王冠を身に着けることになっています。
「権力の象徴」として歴史の中で翻弄されてきたコ・イ・ヌール、これから先どのような変遷をたどっていくのか、気になるところです。
イエローゴールドをベースにした華やかなデザイン。センターストーンは0.5ctアップ、周囲にダイヤをセットしました。0.5ctというサイズは1ctの半分ですが、身につけると想像以上に大きな印象です。周囲をサテライトのようにダイヤモンドで取り巻いているので、ますます強い輝きを実感できます。鑑定書付き¥198,000オンラインショップはこちら。
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