No.59カルティエ創業者の4代目、自身のブランドで合成ダイヤモンドのエンゲージを販売
BJI ブログ No.59
ジュエリーに使うダイヤモンドは、天然であるべき? それとも合成も取り入れていくほうがよいのか? 揺れているジュエリー業界。
そんな中、カルティエの創業者ルイ フランソワ カルティエの血を引き継ぐ4代目Jean Dusset(以下、ジャン ドゥセ)は、「合成ダイヤモンドに関する最も一般的な消費者の誤解の1つは、『合成ダイヤ=偽物である』ということ。レベルの高いキャリアを持つデザイナーブランドが合成ダイヤモンドを採用し、それを正当なものとすることでその誤解は解けていくのではないか」は語っています。
彼は1971年パリ生まれ。ショーメ、ブシュロン、ヴァン クリーフ&アーペルといったハイジュエラーの下でキャリアを積んだ後、2001年ロサンゼルスへ渡り、2005年ビヴァリーヒルズに自身の名前を冠したブランドのアトリエを設立。カスタムジュエラーとして、エヴァ ロンゴリア、パリス ヒルトン等のセレブの婚約指輪を手掛けました。しかし、彼はセレブだけではなく、もっと一般的な花嫁が望むジュエリーについても興味を持っており、2020年夏、合成ダイヤモンドを使用した、よりリーズナブルな婚約指輪のライン、オンラインで購入可能の「Oui by Jean Dussetウィ バイ ジャン ドゥセ)」を発表しました。
2021年7月21日付の同ブランドのブログでは、「婚約指輪をオンラインで購入するときに知っておくべきこと」を公開、Oui by Jean Dussetのメリットが熱く語っています
たとえば、Ouiのサイトでは、リングのデザインはもちろん、GIA認定の合成ダイヤモンドを高解像度の画像でぐるりと360度見渡せ、お気に入りのデザインをパートナーと一緒に話し合いながら作っていくことができること。また予算やその他の好み(色やカラット重量など)に合わせてセンターストーンを選択したり、その他細かい部分までパーソナライズできるなど、実店舗に行くのと変わらないサービスが受けられると謳っています。
2021年7月19日付の『アメリカナショナルジュエラー』誌によると、彼は今年400人のサイト登録者を対象に調査を行いました。それによると全体の48%が、婚約指輪の中石に使用するダイヤモンドは2〜4カラット希望、また予算においては全体の49%が10,000ドル(約110万円)未満であることが望ましいという結果でした。また回答者の半数以上が、合成ダイヤモンドの購入を検討していると述べていました。
この結果を受けて、彼は「合成ダイヤモンドの技術と品質は日々向上しており、消費者も合成ダイヤモンドを求めていることから、Ouiはその解決策となると確信している。Ouiは常に、GIAグレードの高品質のジュエリーをより手ごろな価格で提供できる。たとえば1カラットのダイヤモンドエンゲージリングは小売価格4,200ドル(約46万円)からだそうで、当ブランドの天然ダイヤモンドのエンゲージリングは、小売価格8,500ドル(約94万円)から、とおよそ倍の値段になる」とのこと。
高品質でステキなデザイン、しかも金額も抑えられるのなら、合成ダイヤモンドのエンゲージリングもあり!ですよね。しかもあのカルティエの曽曾孫のブランド。今後、彼は天然ダイヤモンドによるカスタムジュエリーと合成ダイヤモンドジュエリー、2つのフィールドでダイヤモンドジュエリーを提供していくということです。
一方、2021年7月25日付のアメリカ経済誌『フォーブス』によると、現カルティエのチーフエグゼクティグ・シリル ヴィネロンは、大手コンサルティング会社のマッキンゼー社による『The Business of Fashion and Mckinsey』のファッション、ウォッチ、ジュエリーレポートのインタビューにおいて、「多くの顧客は、いまだに合成ダイヤモンドには否定的。その理由は、ダイヤモンドが地球で何千年もの間に創られたという事実や特異性を失ってしまうからです。現段階においてメレダイヤの使用については合成のものを否定はしませんが、本格的な使用についてはまだ準備ができていない。当社は、顧客にダイヤモンドが天然であること、流通経路がはっきりしていることを約束しています。最終的に他の宝石と比べたとき、ダイヤモンドに与えられている価値に疑問が生じることになってしまうでしょう」と語っています。
カルティエは1847年に創業、1964年までカルティエファミリーによって営まれてきた老舗で現在はリシュモングループの傘下となっています。
トップ画像: https://jeandousset.com
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