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フェルメール、カラヴァッジョなど日本初公開の名画が一挙来日。「メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年」大阪、東京で開催

Written by MACHIDA Akemi

ニューヨークのメトロポリタン美術館から、巨匠の名画65点が来日。うち46点は日本初公開という貴重な展覧会、これは絶対に見逃せない!

海外旅行に行ったら、美術館巡りをするのが楽しみという人も多いでしょう。今はなかなか海外に行けませんが、展覧会「メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年」が、大阪では大阪市立美術館で2021年11月13日(土)~2022年1月16日(日)まで、東京では国立新美術館で2022年2月9日(水)~5月30日(月)まで開催されます。

アメリカ・ニューヨークにあるメトロポリタン美術館は、フランスのルーブル美術館、ロシアのエルミタージュ美術館と並んで世界三大美術館の1つとされています。古代から現代までさまざまな作品を所蔵するメトロポリタン美術館のヨーロッパ絵画コレクション約2500点の中から、選りすぐりの名画65点が来日します。うち46点は日本初公開です。

ヨーロッパの巨匠の作品が一挙にやってきます。ラファエロ、カラヴァッジョ、レンブラント、フェルメール、ベラスケス、ヴァトー、ルノワール、ゴーギャン、ゴッホなどの名画が一堂に会するという贅沢な展覧会。これは絶対に見逃せません。

メトロポリタン美術館は、1866年にパリでアメリカ独立宣言を祝うために集まったアメリカ人によって提案され創立。その時点では作品は1つもありませんでしたが、コレクターからの寄贈や関係者の努力により、1872年にマンハッタンの小さな建物で一般公開をスタートし、1880年には現在の場所であるセントラルパーク内に建物を構えます。

その後、増改築を続け、現在ではミイラや壁画、ヨーロッパ絵画など5000年以上にもわたる世界各国の考古遺物・美術品、約150万点を所蔵。今回の展覧会は、2018年より進められている照明の改修工事がきっかけで実現しました。

フラ・アンジェリコ(本名 グイド・ディ・ピエトロ)《キリストの磔刑》 1420-23年頃 テンペラ/金地、板 63.8×48.3cm ニューヨーク、メトロポリタン美術館 Maitland F. Griggs Collection, Bequest of Maitland F. Griggs, 1943 / 43.98.5
カラヴァッジョ(本名 ミケランジェロ・メリージ)《音楽家たち》1597年 油彩/カンヴァス 92.1×118.4cm ニューヨーク、メトロポリタン美術館 Rogers Fund, 1952 / 52.81
ヨハネス・フェルメール《信仰の寓意》1670-72年頃 油彩/カンヴァス 114.3×88.9cm ニューヨーク、メトロポリタン美術館
  The Friedsam Collection, Bequest of Michael Friedsam, 1931 / 32.100.18
エドガー・ドガ《踊り子たち、ピンクと緑》1890年頃 油彩/カンヴァス 82.2×75.6cm ニューヨーク、メトロポリタン美術館
 H. O. Havemeyer Collection, Bequest of Mrs.H. O. Havemeyer, 1929 / 29.100.42

絵画は時代順に3章構成で、西洋史の流れに沿って展示されます。第1章では、「信仰とルネサンス」をテーマに、イタリアと北方のルネサンスを代表する画家ら、フラ・アンジェリコやラファエロ、エル・グレコなどの作品を紹介します。

修道士だった画家フラ・アンジェリコは、一点透視図法で三次元空間を表現した最初の画家の1人です。作品《キリストの磔刑》では、金を背景に使い、人々が手前から奥に向かって楕円形に配置され、絵画の中に奥行きのある空間を感じ取ることができます。

第2章「絶対主義と啓蒙主義の時代」では、絶対主義が強化された17世紀から、人間性を尊重した啓蒙思想が盛んだった18世紀の名画が揃います。カラヴァッジョ、フェルメール、レンブラント、ラ・トゥール、ヴァトー、ブーシェなどの絵画が堪能できます。イタリア、スペインなどでは信仰心を高揚させる宗教画、一方オランダでは、自然を描いた風景画や花や事物をテーマとした静物画や、市民や農民の日常を描いた風俗画が発展しました。

引き寄せられるのは、カラヴァッジョの《音楽家たち》。楽器を演奏したり歌ったりしている若者たちを描いていますが、左端にはキューピッドの姿も。右から2番目の若者はカラヴァッジョの自画像と言われています。白い肌をした若者たちの視線やわずかに開いた唇からは、けだるさや色っぽさが伝わってきます。

フェルメールが描いた《信仰の寓意》にも注目です。キリストの磔刑の絵画を背に座っている女性は「信仰」の擬人像。部屋には地球儀やリンゴ、蛇なども見られますが、これらはキリスト教に関する様々な宗教的メッセージを暗喩しています。

そして第3章「革命と人々のための芸術」では、社会が急速な発展を遂げた19世紀を背景に生まれた、ロマン主義や写実主義、印象派やポスト印象派を紹介。ターナー、マネ、ドガ、モネ、ルノワール、セザンヌ、ゴッホなど見応えのあるセクションです。

バレエのレッスン風景を多く残したのはエドガー・ドガ。《踊り子たち、ピンクと緑》では、舞台裏で衣裳や髪の毛を整える踊り子たちの姿が描かれています。この作品が描かれた当時、ドガの視力はほとんど失われていましたが、画面は鮮やかな色彩で輝きを放っています。

日本でもファンが多いのがモネの《睡蓮》です。モネは、自宅の周りの庭に川から水を引いて池を作り、睡蓮を植えます。そして30年にわたり睡蓮をテーマに連作を描き続けますが、その数なんと200点以上。その中の1つである本作には、当時白内障だったモネが見たヴィジョンで描かれたという、輪郭があいまいで遠近法のない不思議な光景に思わず引き込まれます。

誰もが知る画家たちの名作ばかりで、ほとんどの作品が日本初公開だという展覧会、実物をしっかり目に焼き付けたいですね。あなたのお気に入りの1枚を探してみてはいかがでしょうか。

「メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年」

東京展
会期 2022年2月9日(水)~5月30日(月)
会場 国立新美術館 企画展示室1E
開館時間 10:00~18:00(毎週金・土曜日は20:00まで)
*入場は閉館の30分前まで
休館日 火曜日(ただし、5月3日(火・祝)は開館)

観覧料(税込) 一般2,100円、大学生1,400円、高校生1,000円、中学生以下は入場無料。
*混雑緩和のため、オンラインによる事前予約制(日時指定券)を導入します。
詳しくは展覧会ホームページ、https://met.exhn.jpのチケット情報をご確認ください。

問い合わせ 050-5541-8600(ハローダイヤル)

TOP画像:クロード・モネ《睡蓮》1916‒19年 油彩/カンヴァス 130.2×200.7cm ニューヨーク、メトロポリタン美術館 Gift of Louise Reinhardt Smith, 1983 / 1983.532

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