No.116 日本人作家も参加。「フローレンス・ジュエリー・ウィーク2022」4月28日~5月2日開催
BJI ブログ No.116
イタリア・フィレンツェといえば、ルネサンス文化発祥の地として知られ「芸術の都」「花の都」として称される美しい街。アルノ川の両岸を結ぶフィレンツェ最古の橋と呼ばれるポンテヴェキオの橋の上には、職人による手作りの宝飾品を扱う店舗がずらりと並んでいます。彫金やジュエリーデザインの専門学校もあり、日本を含め世界各地からジュエリーのプロを目指す若者たちを受け入れています。
そのうちの1つ、レ アルティ オラフェ(Le Arti Orafe=LAO)ジュエリースクールの校長ジオ・カルボーネ(Giò Carbone)氏が主催するイベントが、2022年4月28日~5月2日開催される「フローレンス ジュエリーウィーク2022(Florence Jewellery Week 2022)」。*名称はフィレンツェの英語、フローレンスを用いている。
2005年から2年に1度「PREZIOSA(プレツィオーザ)」という名前で実施されてきたコンテンポラリージュエリー展が、カルボーネ氏とLAOで教鞭をとるアリス・レンドン(Alice Rendon)氏との共同作業により、「フローレンス ジュエリーウィーク」と名称を変え、さらに充実したプログラムとなりました。本来ならば2020年にスタートのはずでしたが、コロナ禍で残念ながら中止となり、今回が初の開催となります。
本展の目的は、デザインと技術面において過去の作品を保護するとともに、現代のニーズに合った形にリセットしていくこと。2022年版では、身体への装飾分野における芸術的なアプローチに特化し、それにまつわるさまざまな分野の研究をサポートしていくことです。
目玉は、やはりマージ礼拝堂(メディチ・リッカルディ宮)にあるギャラリー、ガレリア・デッレ・カロッツェ(Galleria Delle Carrozze)で開催される展示「PREZIOSA(プレツィオーザ)」でしょう。招待された9人のアーティストはすべて、国際的なアートシーンで活躍し、数々のジュエリーコンテストで受賞歴のある人たちばかり。その中には、日本人の永野和美さんもいます。自身で染色を施した紙糸やナイロン、金属などを立体的に織った繊細なジュエリーは、2002年、第18回日本ジュエリーアート展で優秀賞を受賞。彼女の作品の一部は、ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館や、スイスやアメリカの個人コレクターの収蔵品となっています。今回出品された作品は、馬の毛にK18YGの金糸、SV950のシルバープレート、ナイロンの糸を使ったブローチ。流れるような金糸とナイロンで作られた生地は、まるで紺地の着物のような雰囲気を醸し出しています。
マージ礼拝堂の近く、パラッツォ・デル・ペガソ(Palazzo del Pegaso)のホールでは、オーストリアのカップル、カール&ハイジ ・ボルマンのコンテンポラリージュエリーのプライベートコレクションから膨大な数のセレクションが展示されます。その中には、「ニュージュエリー」と称されるマンフレート・ビショフ(Manfred Bischoff)、ピーター・チャン(Peter Chang)、平松保城といったコンテンポラリージュエリーの分野で世界的にも知られるアーティストたちの作品が続々登場。
パラッツォ・デル・ペガソの他の部屋には、細いワイヤーに加工したゴールドを幾重にも組み合わせたジュエリー製作で知られるイタリアのアーティスト、ジョバンニ・コルヴァハ(Giovanni Corvaja)によるゴージャスなヘッドピースが展示されます。
ガラリア・デル・パラッツォ・コヴェリ(Galleria del Palazzo Coveri)では、新進デザイナーたちの才能を伸ばすことを目的としてLAOが創設し、今回で10回目を迎えるデザインコンテスト「プレツィオーザ ヤング(PREZIOSA YOUNG)」の授賞式も行われます。また、初の試みとして、2022年2月25日までに応募し、その後審査の上で一定の条件を満たした製造業者やデザイナーによる展示即売会も実施されます。
4月30日、5月1日にカルミネ広場では、ジュエリー、デザイン、ビジュアルアートの専門家たちによるスピーチが行われるなど、講演会も充実。他にもトスカーナ・インダストリアル・デザイン協会(ADI Toscana)などの公的な団体の後援のもと、セミナーやワークショップなども開かれ、会期中フィレンツェ市内は、深く華やかなジュエリーの世界に満たされます。
ベストシーズンともいえるこの時期に開催されるジュエリーの祭典、いつかは訪れてみたいものです。
トップ画像:https://www.preziosa.org/exhibitions-2022/
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