No.124 少女小説『小公女』で新発見!インドのダイヤモンド鉱山の話
BJI ブログ No.124
子供の頃に読んだ童話や小説、大人になってから読み返してみると、子供の頃には気が付かなかった新しい発見があったりして楽しめますね。たとえば、アメリカの小説家バーネット夫人の『小公女』。
早くに母を亡くしイギリス人の父親と英領インドで育ち、全寮制の学校に入るためにイギリスに帰国したセーラ。正義感が強く心優しい彼女はたちまち学院で人気者となり、楽しい毎日を送っていました。しかし父親がインドで親友とともに始めた事業が失敗、父も亡くなり、不幸のどん底に突き落とされたところからハラハラドキドキ。
彼女が籍を置いていたミンチン女学院の院長ミンチン先生は、彼女の父親の寄付が望めなくなったと知るや否や親切だった態度が豹変したことに怒りを覚えたものです。同じ使用人のベッキーとともに不慣れな暮らしの中でも、気高さを失わずたくましく日々を生きるセーラに胸を熱くしたことも。
そんなある日、屋根裏部屋で暮らす彼女の元に迷い込んできた隣家の猿とそこで働くインド人と仲良くなります。実はその家の主人は父親の親友で、事業が成功し多額の遺産が入り、それを渡そうとセーラを探していたことがわかり、また裕福な暮らしを取り戻します。
「どんな厳しい境遇であっても前向きな気持ちでいれば、きっと幸せが訪れる」と子供心に感じたものです。そして、大人になった今改めて本を開いてみました。
物語の舞台は19世紀。彼女の父親クルー大尉が始めたインドの事業というのは、「ダイヤモンド鉱山」でした。インドは、紀元前から17世紀まではダイヤモンドの唯一の産出国として知られ、ゴルコンダ地域一帯はダイヤモンドの一大産地として知られています。現在スミソニアン博物館に展示されている45.5カラットのブルーダイヤモンド「ホープダイヤモンド」は、この鉱山で採れたもの。
18世紀に入ると1725年にブラジルでダイヤモンド鉱床が発見され、その後インドでのダイヤモンドの採掘は減少していきます。
この2か国で産出されたダイヤモンドは、ダイヤモンドを含む岩石(キンバーライト)が風化して雨や風で運ばれて堆積した川底や海底の堆積物を拾い集める方法によるもので、見つけるのが困難な上、希少なもののため君主や王族に優先的に使用されていました。
19世紀に入り、1866年に南アフリカのオレンジ川のほとりでアフリカ大陸最初のダイヤモンドを農家の子供が拾います。その後南アフリカでは、キンバーライトからダイヤモンドが発見され、以前よりもより集中して大量に採掘できる可能性があることがわかってきます。採掘の仕方も川底や海底の堆積物から拾う方法から、大規模な露天掘りによるものへと変わっていきました。
その後南アフリカはダイヤモンド ラッシュの時代へと突入。過去2000年間にインドで産出された量よりも多くのダイヤモンドが見つかっています。その頃、採掘が始まった南アフリカ・キンバリー鉱山で有名なものでは、ティファニー社のイエローダイヤモンドが発見されています。
セーラの父が19世紀のいつ頃インドでダイヤモンド鉱山の事業を起こそうと思ったのかは不明ですが、採掘がブラジルやアフリカへと移っていた当時の状況を考えるとインドという場所を選んだのは間違いだったのではないでしょうか。大尉でお金持ちだったとはいえ、ビジネスや世情には疎い人だったのかしら?とふと思ってしまいます。
小公女の物語を、意地悪な見方をすれば、実は父の親友が有能でいい人であったため(?)、事業がその後成功し、その儲けを父名義にしておいてくれたおかげで、セーラは元の裕福な生活に戻れたのですね。
現在のインドでダイヤモンドの産出はほとんどありませんが、研磨、流通、販売では世界の中心的な役割を担っています。2018年の輸出品目では3位という上位にランクイン、今もダイヤモンドは大切な産業の1つとなっています。
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