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ジュエリーと、ジュエリーにまつわるさまざまなエピソード

No.140 法服の上に装うビブネックレスに、メッセージを託して。 アメリカ最高裁判事RBGのジュエリースタイル

BJI ブログ No.140

2022年7月10日、日本は参議院の選挙投票日。奈良で遊説中の安倍元首相が凶弾に倒れるというショッキングな事件も起き、記憶に残る選挙となりました。

ところでご存知の通り、選挙は現在18歳以上男女ともに参政権がありますが、かつては男性のみにしか与えられていませんでした。男女の不平等の問題についてはまだ100%解決しているとは言えませんが、遅い歩みながら確実に動いていることも感じられます。

その功労者の1人として挙げられるのが、アメリカ人で2020年87歳で亡くなった女性判事ルース・ベイダー・ギンズバーグ、通称“RBG”。

1970年代から女性解放運動のパイオニア的存在として知られ、1993年にクリントン大統領時代に最高裁判事に任命されてから人工妊娠中絶や同性婚の権利を支持するなどさまざまな人権問題に果敢に取り組んでいました。

トランプ前大統領時代の最晩年期にも、「新しい大統領に変わるまでは死ねない!」と健康に気を遣い、ジムで体を鍛えていたタフな女性。

判事というと、白いシャツの上に黒い長い法服を身に着けているイメージですが、彼女の場合は法服の上に大胆なレースの襟飾りをつけ、大粒のイヤリングをしている姿が印象的。

1993年、彼女が最高裁の判事として登庁した際、法服にすっきりとしたボータイのようなスタイルを選びました。

なぜその胸飾りを選んだのかという『ワシントン・ポスト』の質問に対し、彼女は「標準的なローブは、シャツとネクタイを着用する男性を念頭に作られています。それで、サンドラ・デイ・オコナー(アメリカにおける最高裁初の女性判事)と私は、ローブの一部になにかしら女​​性的なものを取り入れるべきだと思ったのです。そのため私はたくさんの胸飾りを持っているんですよ」と答えています。

彼女のお気に入りの胸飾りは、2005年12月31日の米国議会合同会議でのバラク・オバマの最初の演説でつけていた、白いビーズで編んだ南アフリカ、ケープタウン製のシンプルなデザインのもの。マットなシルバーの丸いイヤリングとの相性も抜群です。

彼女はさまざまなテクスチャーの胸飾り(ビブネックレス)を持っていて、その一つ一つに意味が込められています。

たとえば、2013年のオバマ大統領の一般教書演説に出席した時につけていたイヤリングに金糸で編み上げた襟飾りにゴールドのチェーンネックレス。これは、「彼女が法廷で意見を発表、承認を得たいときにつけるネックレス」なのだそう。

また、2012年以来彼女が反対の意を表したいときにつけていたのが、アメリカのブランド、バナナリパブリックの黒地にラインストーン付きのビブネックレス。最高裁の判決に同意しないときによく着用していたようで、2016年にドナルド・トランプが大統領に選出された翌日にも身につけていました。

2018年、ブレット・カバノーという判事が最高裁の判事候補としてトランプ大統領から指名されますが、10代のころの性暴力疑惑が浮上、全米の注目を集めます。最終的には上院の承認を得て最高裁判事に就任したという事件がありました。そのとき彼女が選んだのは、金属製の羽を幾重にもグラデーションで積み重ねたStella & Dot(ステラ&ドット)のネックレス。硬い表情の彼女の胸元で、まるで鎧のような印象を受けます。

法服以外のふだんの彼女の装いにも注目。美しい花柄やはっきりとした赤、青といったファッションに、ブローチや大ぶりのイヤリングが気品ある大人の女性を感じさせます。

そういえば、当ブログNo.115でご紹介したオルブライト元国務長官もまたジュエリーを装うことで、自身のメッセージを伝えていましたね。

改めてジュエリーの果たす「役割」が感じられるエピソードです。RBGについてもっと知りたい方には、実話をもとに描いた映画のDVD「RBG 最強の85才」(Amazonなどで配信中)がおすすめです。

Top画像:USA today

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