No.152 ポーランドの琥珀ビジネスイベント。琥珀ジュエリー は日本人が知る以上に斬新
BJI ブログ No.152
1993年に公開され大ヒット作となったスピルバーグの映画「ジュラシック・パーク」。その後シリーズ化され2022年7月には最新作「ジュラシック・ワールド/新たなる支配者」が公開され、9月になった現在もロングラン上映中です。ジュラシック・パークと言えば、琥珀に閉じ込められた蚊の化石からDNAを抽出することで恐竜が復活するというストーリー。実際琥珀は、数千万年前の虫や動物の毛はもちろん、鳥の羽やカエルなどが閉じ込められたものもあり、じっと見ていると太古の昔に思いを馳せる自分がいます。
琥珀は、4000年以上前の木の樹脂が海底に堆積してできた化石の一種で、古くからバルト海沿岸で多く産出され、ギリシャ神話を含む多くの伝説や文学の原本においても登場します。
18世紀のバロック時代には一時期ブームとなり、ジュエリーだけでなく、金庫、家具、食器、身の回り品、さらには建築の細部までにも琥珀が使われました。琥珀には魔法や薬効があると多くの人が信じており、特に中国では魔除けや個人的なお守りとして知られています。
おそらくこれは、琥珀のユニークな特徴、つまり静電気の特性 (琥珀の古代ギリシャ名は Elektronos) に影響されているのでしょう。生地をこすると、琥珀が帯電し、小さな紙片を引き付けます。加熱すると甘い香りを放ち、優れた効果のあるイオンを発生させてくれることもわかっています。
ポーランドのバルト海に面した町グダニスクは琥珀の一大産地として知られ、旧市街、Mariacka通り(マリアッカ =聖マリアという意味) には、現代の琥珀のアーティストのショップ、ギャラリー、工房が数多くあり、別名アンバーストリートと呼ばれています。その近くには、原石から伝統工芸品、世界各地のジュエリーアーティストによる作品を展示した琥珀博物館があります。中でも地元のビーチで見つかったものは、先史時代のトカゲが非常に良い状態のまま閉じ込められていて、美術館の収蔵品の中でも価値の高いものの1つとして知られています。
グダニスク郊外にあるAMBEREXPO(アンバーエキスポ)エキシビション&コングレスセンターでは、年に2回、3月と8月下旬 / 9 月上旬、The AMBERIF International Amber and Jewelery Fair(アンベリフ インターナショナル琥珀ジュエリーフェア)という琥珀ジュエリーの見本市が開かれます。
ビジネス、科学、そして芸術といった多岐にわたる分野のプロフェッショナル間で影響しあう出会いの場として、また会議、シンポジウム、文化イベントの場を提供、そして国際ジュエリー アート コンペティションであるAMBERIFデザインアワードの発表、授賞式も行われています。
2022年は9月1~3日の会期で開催。AMBERIFのデザインコンペでは、琥珀のビーズをまるで網のように組み合わせたネックレスが印象的なスペイン人アーティストのEmma Carrau Bueno(エマ・カラウ・ブエノ)が栄えあるADA大賞を受賞しました。
また同時期、出展企業を対象に優れたデザインと完成度の高いジュエリー製品に贈られるデザインコンペ、AMBERIF SELECTION(アベリフ セレクション)では、1992年から琥珀ジュエリーのビジネスをスタート、映画ジュラシック・パーク人気に乗じて急成長、2001年には中国 ・上海にも進出しているS&A Jewellery Design(S&A ジュエリーデザイン)が受賞しました。
同フェアの出展企業400社のうちの半数以上は、オリジナルのシルバーとゴールドのジュエリー、ファインジュエリー、ファッション アクセサリーのメーカーが占めています。 中でもユニークなデザイン ゾーンと主要なジュエリー アーティストによるアート ジュエリーを備えたデザイン ギャラリーは、特別な存在。ジュエリー デザイナーは、このフェアに出展することでポーランドのクリエイティブ産業を、そして自身の作品を世界にアピールするチャンスでもあります。
企業、産業、学術機関が集まっていることから、琥珀の技術革新の開発や実験場としても格好の場所。将来のデザイナーがCAD/CAM 技術や最先端の3Dプリンターを勉強したり、前衛アートの限界を突き詰めていく、持続可能なデザインのアイデアに沿って伝統的な手工芸品を復活させる方法を探求する場としても注目されています。次回の春のフェアは、2023年3月22~25日を予定しています。
日本では琥珀といえば、一連のネックレスやオーソドックスなデザインのアクセサリーしか思い浮かばない人が多いと思いますが、琥珀の本場ポーランドでは目新しいデザインが次々に登場し、欧米に輸出しています。またいわゆる琥珀色の茶系だけでなく、赤や青、草木染めによる緑色などもあります。手に入れやすい価格帯のものも多いので、ファッションに取り込んでみてはどうでしょうか。
Top画像出典:Museum of Amber in Gdańsk, exhibition of contemporary amber jewellery 2022.
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