Written by Brand Jewelry

この数年、非常に賑わいを見せている全国のミネラルショー。東京・池袋サンシャインで行われる日本最大のショーの来場者は、3日間で約4万人と言われます。ミネラルショーといえば、アメリカのツーソン・ジェム・ショー。毎年1月下旬から2月中旬、8月下旬から9月上旬に開催される世界最大規模の宝石・鉱物の祭典です。

特に冬のショーはかなり大がかりで、コンベンションセンターなどの大型施設をはじめ、野外テントや駐車場、ホテルの敷地内などいたるところが会場となり、開催期間中はあちらこちらでさまざまなショーが行われています。

宝石や天然石を求めるバイヤー、ディーラーに向けた宝石や原石のほか、化石、隕石、恐竜の骨、民芸品なども展示されることから、一般の観光客も楽しめる内容となっていて、普段は静かな町がにぎやかなお祭りムードへと様変わりします。

ジュエリーブランドを支えるSDGsに則した原石サプライヤー

そんな中、SDGsをテーマにしたショー第3回「US エシカル・ジェムストーン・フェア」が2023年1月28日～31日、ツーソンのスコティッシュライト大聖堂で開催されます。宝石の業界でもSDGsの動きは活発です。特にアメリカでは、人や環境問題を配慮することがジュエリーブランドとして生き残る必須条件です。それを真っ先に実践しているのがティファニーなどの有名ブランドです。そうしたブランドに宝石を供給する宝石原石サプライヤーもSDGsに則した活動が急務となっています。

「US エシカル・ジェムストーン・フェア」の主催は、エシカル・ジェム・サプライヤーという世界各地の採掘企業が集まってできたグループ。彼らは6つの公約を掲げ、実践しています。

1.職人、小規模な鉱山会社、そのコミュニティをサポートします。

2.トレーサビリティの透明性が確認できる宝石を提供します。

3.公正な価格と労働者の待遇を守り、公平なサプライチェーンを構築します。

4.責任ある環境整備に取り組みます。

5.採掘現場で働く人々の健康と安全を保持します。

6.*SCS認定のリサイクル・ダイヤモンドと宝石を提供します。
*SCS（Scientific Certification Systems）：サステナビリティ・環境分野におけるアメリカの第三者認証・監査を実施する非営利団体。

エシカル・ジェムストーン・フェアのセールスポイントは、サプライヤーは各宝石の産地に関する具体的な詳細を顧客に提供し、バイヤーやデザイナーは公約に基づいた宝石とダイヤモンドが購入できるというわけです。

エシカル・ジェム・サプライヤーのメンバーは、日本では馴染みがありませんが、宝石卸に関わる人なら知っていても良いかもしれません。
Agere Treasures /エメラルドとオパールで知られるエチオピアのサプライヤー
Anza Gems /東アフリカの女性鉱山労働者が提供するカラーストーン専門業
Capricorn Gems /オーストラリアのクイーンズランド州産のサファイア、ボルダー オパール、クリソプレーズ等を販売Columbia Gem House/AからZまでの宝石、アメリカで採掘された多数の石を取り扱う
Nature’s Geometry/ルチルクォーツに重点を置いたブラジルの宝石業者
Nineteen48/スリランカ、タンザニア、オーストラリアを中心に、その他の国の宝石を取り扱う
Perpetuum Jewels /リサイクルやアンティークのダイヤモンドと宝石を取り扱う
Virtu Gem /マラウイ、ケニア、ザンビアで採掘された宝石専門業社

期間中は、メンバーによる20分ほどの教育セッションも予定されています。たとえば、「鉱夫から市場までの透明性について」や「言葉は重要: あなたにとって責任とは何か」「天然石とリサイクル、合成石について」などSDGsに関わるテーマを掲げた意見交換会が挙げられます。最終日の1月30日は、午後4時から6時までメンバーとの交流イベントも開催されます。

ジュエリー業界でも叫ばれているSDGsの動き。フェアで現場の声を聴いたり様々な意見を交換することで今後の展望が開けていくのではないでしょうか。

Top画像：tucsongemshow101.com

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